「補聴器を拾った方は、近くの取扱店に届けて」呼びかける投稿が話題 「交番ではダメなの?」… 警察庁の見解は

金井 かおる 金井 かおる

 広島にある補聴器専門店「補聴器センターアイ」(@hochouki_ai)が公式Twitterアカウントに投稿した呼び掛けが注目を集めています。

 「街中で落とし物の補聴器を見つけた方にお願い 補聴器には「製造番号」が記載されていますので、補聴器を拾った方はお近くの補聴器取扱店に届けてあげてください 補聴器販売店から製造メーカーを通じて、補聴器を落として困っている難聴の方に補聴器をお返しする事ができます」(1月13日投稿から引用)

 投稿は拡散。「知らなかった」「初めて知りました」「覚えておきます」などの反応とともに5万近い「いいね」がつき、補聴器ユーザーからも「これは本当にお願いします」「みんなに知ってほしい」という声が上がりました。一方で、「警察と補聴器店が連携していたら…」「交番ではだめなんでしょうか?」「交番より販売店がいいということですか?」「警察の方がいいのでは…」といった意見もありました。補聴器専門店と警察庁に話を聞きました。

補聴器専門店「なかなか落とし主に届かない」

 投稿した補聴器センターアイ(広島県広島市中区)の担当者に聞きました。

──投稿したきっかけは。

 「難聴のお子さんを持つ親御さんとのお話がきっかけでした。補聴器を落としてもなかなか落とし主に届かないという話を聞いて、補聴器業界全体として何かできないかと思いました。警察署や交番で補聴器の落とし物を受け取った際に補聴器取扱店や製造メーカーに問い合わせる仕組みが出来上がるまでには時間がかかると思い、ひとまずTwitterに投稿することにしました」

──補聴器は高価な物といわれています。

 「補聴器の価格帯は、1台(片耳)当たり5万円〜50万円程度となっています。一般社団法人日本補聴器工業会が2018年に実施した市場調査では、補聴器1台当たりの平均価格は、15万円という調査結果が出ています」

──補聴器取扱店に届けるか、警察署に届けるか、迷う人がいるかもしれません。

 「理想は『警察署→製造メーカー→使用者の購入店→使用者』という流れだと思いますが、製造メーカーや製造番号が補聴器本体のどこにどのように記載されているのかを知るのは補聴器取扱店でなければ困難だと思います」

 遺失物法では、駅や店舗などの施設ではその施設に、施設以外の路上などでは最寄りの警察署や交番、駐在所に届けるルールがあります。同店もそのあたりは承知しており、混乱がないようにあらためて投稿。「落とし物の補聴器の届け先は、補聴器を取り扱っているメガネ店でもOKです お近くに補聴器取扱店がない場合は、最寄りの警察署に届けてあげて下さい(1)製造番号で検索できる(2)補聴器取扱店や製造メーカーに問い合わせて欲しいと警察官にお伝え下さい」と呼び掛けています。

警察庁の見解は?

 警察庁広報課(東京都千代田区)にも話を聞きました。

──警察署に補聴器を届けた場合、取扱店や製造メーカーに連絡してもらえるのでしょうか。

 「補聴器が拾得物件として警察署等に提出された場合、まず都道府県警察内において把握されている遺失届との照合を行い、これにより遺失者が判明しない場合には、製造メーカー等への照会を含め、遺失者への返還のために必要な措置を講じることとなります」

──発見者の判断で補聴器取扱店に届けることは違法にはならないのでしょうか。

 「遺失物法では、物件を拾得した者は、これを遺失者に直接返還するか、又は警察署長に提出しなければならないとされていますが、補聴器を拾った方が、遺失者に返還する目的で、補聴器取扱店に当該補聴器を預けることは、遺失物法に抵触するものではありません」

     ◇

 前出の専門店担当者は「補聴器販売に長く従事していますが、屋外で補聴器を紛失されたお客様から『補聴器が見つかった』というお話を聞いたのは25年間で2~3件程度です」といい、今回のTwitter投稿が少しでも改善につながればと期待しています。

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