電車内での喫煙を注意した高校生が暴行被害「関わらずに通報を」 小川泰平氏が防犯アプリの開発を提案

小川 泰平 小川 泰平

電車内で喫煙していた男を注意した17歳の高校生が暴行されて重傷を負った。社会問題化したこの事件を受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は31日、当サイトの取材に対し、「こうしたケースでは身の安全を第一に考えて関わらないこと」と注意喚起。鉄道各社には通報システムを導入したアプリの開発を呼び掛けた。

1月23日正午頃、JR東北線(宇都宮線)の電車内の優先席に寝転がりながら加熱式たばこを吸っていた男が、同じ車両にいた高校生から「やめてもらえますか」と注意されると逆上し、走行中の電車内や自治医大駅のホームで殴る蹴るの暴行を加えて顔面骨折などの重傷を負わせた。同容疑者は逃走したが、同日深夜に宇都宮駅で、傷害の疑いで栃木県警下野署に逮捕された。

この男は、宇都宮市のホストクラブ従業員宮本一馬容疑者(28)。同署によると、宮本容疑者は高校生を土下座させ、足蹴にするなどしたというが、容疑を認める一方で「相手がケンカを売ってきた」などと話しているという。

小川氏は「この高校生の行動は他の乗客らが何ら注意すらしない中、勇気ある行動であることは間違いないが、結論から言うと、手を出さない、関わらないのが一番です」と切り出した。

同氏は「電車内での喫煙は、路上喫煙やタバコのポイ捨てとはレベルが違うレアなケース。吸っている者は通常の思考回路ではなく、また、自分が電車内で吸っているということを本人が一番よく分かっている。昨年の京王線で喫煙していた『ジョーカー』(※バットマンシリーズの登場人物を意識した服装の男で、都内を走行中の車両内で無差別刺傷事件を起こした)も同様です。今回は素手で殴られたが、ジョーカーのように凶器を持っていることも十分考えられる。電車は密室。身を守ることを第一に考えていただきたい」と注意を促した。

今回被害に遭った高校生の行動について、小川氏は「高校生にはぜんそくの持病があり、また、周囲の人の迷惑を考えて『たばこ、やめてくれませんか』と注意した。勇気のある行動で素晴らしい」と評価する一方、「煙が嫌だったら、他の車両に移るとか、別の方法を取った方がよかった」と指摘した。

その理由として、同氏は「電車内でたばこを吸う人は通常の思考ではないので、素直に言うことを聞くとは思えない。凶器を持っていれば、第三者に被害が及ぶこともある。しかも、高齢者だったり、今回のように未成年だったりするなど、相手が自分より力が劣ると思えば攻撃してくるおそれもある。結果論ではあるが、関わらないようにすべきだった」と見解を示した。

今後、再発防止のため、小川氏はアプリ開発を訴えた。

同氏は「車内の緊急ボタンにたどり着くのが大変だったりするので、誰もがすぐスマホで通報できるアプリをJRや私鉄各社に開発して欲しい。今回のような暴行、傷害だけでなく、痴漢、スリ、置き引きなどの盗難を車内で目撃した人が、すぐにスマホのアプリで車掌さんら対して簡単に知らせることのできる通報システムです。事件があると、よく『何両目に乗っていたか』と聞かれるが、自分が何両目にいると意識して乗車する人は少なく、分からないことが多い。だが、アプリを開けばすぐ分かるので捜査にも役立てられる」と各社に開発を提案した。

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