大阪の老舗メーカーが本気で作った! 本物の硬式ボールの革を使った長財布が話題、開発の経緯を社長に聞いた

山本 智行 山本 智行

 プロ野球がキャンプインした。これに合わせたかのように野球好きの心をくすぐる革小物のデザインがリニューアルされ、一段と注目を集めている。手づくりの街、東大阪市の老舗「株式会社ナダヤ」が手掛けた長財布。実際の硬式ボールやグラブと同じ革を使用、ボールを連想させる赤い縫い目のステッチが入っているのが特徴だ。灘瑛一郎代表取締役社長(34)に経緯を聞いた。

 まさに”一球入魂”と言っていいだろう。革小物を扱う「ナダヤ」が遊び心と情熱を込めて作り出したのが、この野球シリーズの長財布だ。灘瑛一郎代表取締役社長が胸を張る。

 「2、3年前に何か新しいものをと考え、1年ほどかけて商品化したものです。懐かしい手触りとビジュアル。野球をしていた人には、たまらないのではないでしょうか。野球少年だったころを思い出し、元気を出してもらえればと思います」

 この財布、単にノスタルジックに浸れるだけではなく、機能性、デザイン性も優れている。何しろ、ベースになっているのは2015年から2019年までの5年間、楽天市場ランキングの財布部門で年間1位を獲得したナダヤ社自慢のイタリアンレザーの長財布。こちらは7種類あり、なかでもオレンジが1番人気だとか。

 なだたる海外有名ブランドなどを抑えて最上級の評価を得ているのは何より使い勝手がいいところだ。パッと開けると中が一覧でき、小銭入れのところにはあえてファスナーがついていなく、すぐに取り出せる。

 ファスナーなどがないと小銭が中で飛び出すのではないか、と気をもむ人がいるかもしれないが、そこは技術。硬貨の中で最も小さい1円玉が飛び出さないような、ある工夫が施されている。

自身も野球好き、“ご近所”の阪神・佐藤輝明にも使ってもらえたら…

 そんなナダヤは1960年、大阪府東大阪市で創業。間もなく、62年目を迎える老舗だ。その間、財布や名刺入れ、パスケース、キーケースなどの革小物、バッグやベルトなどを扱ってきた。

 瑛一郎さんはその3代目。自身も野球が好きで小学校時代と大学時代に野球のサークルに所属した。熱心な阪神ファン。「子どもの頃は暗黒時代でしたが、藪投手が好きでした。それと阪神と言えば、JFKですね。あのころの阪神はとても強くて、ちょうど大学に入り、よっし、それなら僕も野球をしようと思ったんですよ」

 阪大では基礎工学部というバリバリの理系。卒業後は、超優良企業として知られるあのキーエンスに就職し、2年間働いた後、既定路線だった家業を継いだ。ナダヤではWeb事業を手始めに企画、商品開発も担当。2019年に専務、2021年春に代表取締役社長となった。

 「2019年10月には増税があり、小売業界の動きが鈍り、そこからコロナになって、いろいろ変化の激しい時代になりました。それまでの卸し中心からからeコマースへとシフトチェンジすることになったのですが、ネット事業の下地があったのは良かった、と思います。そんなときにバスケットボールや野球のボール、グラブの革を使ってみてはどうかという、ご提案をいただき、すぐに展開することになりました。ボールやグラブの手触りは懐かしいですし、私自身も気持ちが高ぶりました」

 ただ、当初は期待ほどの反応はなし。その後、ひと工夫加えたことで一気に注目を集めることとなった。ボールの長財布は赤い縫い目をイメージして、周囲をステッチを入れた。同じようにグラブも網の部分を想起させるように縫い込みをつくり、リアリティーを出したのだ。

 「インターネットではさすがに手触りまでは伝わらりませんからね。そこで見た目にアクセントをつけようと縫い目のステッチを入れました。ハンドメイドで縫うので大変ですが、印象が違いますから」

 今後は、名刺入れやパスケースなどさらにアイテムを増やしたい考えだ。もちろん、プロ野球選手が使ってくれることも願っている。

 「一番ありがたいのは、ひと駅隣の長瀬駅にある近大出身の佐藤さん。野球選手、野球が好きな人、スポーツが好きな人に使ってもらいたいです」

 さらに、持続可能を模索し、使用済みのボールやグラブをいかし切るため、財布のファスナーの持ち手の部分などに使用することも検討中だとか。

 これ以外にもナダヤの革小物はバスケットボールシリーズやキティちゃん、ザ・ビートルズ関連もヒット商品だ。現在は名古屋高島屋7階で2月1日までポップアップを展開中。東海地方在住の方は足を運んで手に取ってみてはいかがだろう。

◇革製品専門店「株式会社ナダヤ」
〒577-0824 大阪府東大阪市大蓮東3丁目4-2
電話 06(6720)1522
NADAYA https://nadaya.shop
※ボール、グラブ革長財布(1万2980円税込)

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