立憲民主党がCLP(Choose Life Project)に資金提供していた問題が、年明け早々に発覚した。きっかけはジャーナリストの津田大介氏、元TBSアナウンサーでエッセイストの小島慶子氏、フォトジャーナリストの安田菜津紀氏、朝日新聞の南彰氏、東京新聞の望月衣塑子氏の連名による「抗議文」。1月5日にネットで公開されたその書面には、立憲民主党からCLPに対して「1000万円以上の資金提供があった」と記されていた。
元テレビマンで結成されたCLPは「公共メディア」を名乗り、その前提でクラウドファンディングで3147万円8400円を集め、その趣旨に賛同した1824名のマンスリーサポーターが登録した。にもかかわらず、CLPは立憲民主党という特定政党からの資金提供を受け、それを秘匿していたことが「重大な背信行為」になるというわけだ。
実際に立憲民主党からCLPへの資金提供は、「動画制作費」として2020年8月7日に447万5390円、「企画広報費」として9月4日に563万7090円、10月9日に251万1420円と238万4370円の計1500万8270円の広告代理店への支払いとして行われた。調査に当たった同党の西村智奈美幹事長は、1月12日の会見で「適切ではないが、違法とはいえない」と述べ、泉健太代表は14日の会見で、「我が党の調査は終了した」と問題の終結を宣言した。
だが依然として疑念は残る。たとえば立憲民主党がCLPに資金提供したのは、当時の福山哲郎幹事長が「フェイクニュースに対抗するメディアを作りたい」というCLP側の思いに賛同したためだが、それが善意ならなぜわざわざ第三者たる広告代理店を介さなくてはならなかったのか。しかも立憲民主党がCLPに提供した金額は冒頭の「抗議文」では「1000万円以上」だが、実際に立憲民主党が支出した1500万8270円にものぼり、実に500万円以上の差があるが、なぜそれほどの「仲介料」を払って広告代理店を介しなければならなかったのか。その理由について西村幹事長は明らかにしていない。
そもそもこの問題は、立憲民主党など野党が追及した持続化給付金業務委託問題と似ているのだ。2020年に新型コロナウイルス対策として実施された「持続化給付金」の給付業務は、経済産業省が一般社団法人サービスデザイン推進協議会に769億円で委託し、さらに電通に749億円で再委託された。差額の20億円を得た推進協議会には、常勤の職員は不在で電話も不通。これはまさに中抜きだと、立憲民主党など野党は厳しく批判したはずだ。金額が少なくても同じような行為をすれば、国民の信頼を著しく失いかねない。
そして他にも問題はある。冒頭にあげた「抗議文」を出した5人が、そもそもどういった経緯で立憲民主党からCLPへの資金提供がわかったのか、5日に発表した「抗議文」ではその経緯を示していない。また、まるで問題の本質に切り込んでいない西村幹事長の調査に対しても、明確な不満を表明していない。
とりわけ南氏と望月氏は、首相会見や官房長官会見で「会見の開放」を主張し、「質問がなくなるまで答えるべし」と訴えていた。ならば、決して少なくない公金が流れたこの問題の真実の解明のために、立憲民主党からCLPに資金提供があったことが判明した経緯など、公開するべきではないか。