電車内「答え出た時泣くかと思った」…受験生への応援メッセージに数学Aの問題 作成した予備校講師に聞いた思い

竹内 章 竹内 章

新型コロナウイルス禍に直撃された2年目の受験シーズン。駿台予備学校が首都圏のJRに掲出した、受験生への応援メッセージの中に、数学Aの問題がありました。〈GAKKOUの6文字を並び替えてできる360個の文字列を辞書式に並べるとき、100番目の文字列を求めよ 数学科 若月一模〉。解いた先に朗報が待っているという粋な設問の意図は、受験生にきっと届いたはず。考案した若月先生に聞きました。 

応援メッセージの広告は2021年から始めたもの。「コロナウイルスの感染拡大で大学入試も大きな影響を受け、試験会場にも直接激励に行くことがかなわない中、受験生を応援したい」という思いから生まれました。2022年は1月10日から16日、首都圏のJR全線に約1万枚のポスターが掲出されました。

そんな中でSNSで話題になったのが、同校で17年教壇に立つベテラン講師、若月先生の数学の問題でした。「答え出た時泣くかと思った..」「サクラ咲け!」「あまりに答えが美しすぎて」「100番目ということがいとおかし」「今日、試験を受けている全ての受験生に送りたいですね!」などのコメントでわいています。苦手だったけど、数学って美しいな…。

解いてみた

・ABCD…のアルファベット順でGAKKOUを置き換えます。Aは最初(1番目)だから1、BCDEFがないのでGは2番目、そう考えるとKは3、Oは4、Uは5となり、GAKKOUは213345と表せます。

・A(1)で始まる6桁を考えます。A(1)以下の組み合わせは、5×4×3×2×1=120ですが、Kが二つあるので、120を2で割って60。これがA(1)で始まる文字列の数です

・同じようにG(2)で始まる6桁を考えます。G(2)以下の組み合わせは、5×4×3×2×1=120ですが、Kが二つあるので、120を2で割って60。これがG(2)で始まる文字列の数ですが、A(1)で始まる分を合わせると、120になってしまい100を超えてしまいます。

・少し戻って最初はG(2)、次はA(1)で始まる6桁を考えます。組み合わせは4×3×2×1=24ですが、やはりKが二つあるので、24を2で割って12。これがG(2)、A(1)で始まる文字列の数です。

・同じように最初はG(2)、次はK(3)で始まる6桁を考えます。組み合わせは4×3×2×1=24ですが、今回はKはひとつ使っているので割る必要はありません。24がG(2)、K(3)で始まる文字列の数です。

・これまでの計算で分かった60、12、24を足すと、96通りまで見えてきました。23(GK)で始まり、最も大きい数、235431が96番目です。

・97番目以降は24(GO)で始まる数を考えます。241335が97番目、241353が98番目、241533が99番目…ゴールが見えてきました。

・100番目は243135 アルファベットに置き換えるとGOKAKU、合格です!

「入試では易しいレベルです」

応援メッセージを出したのは今回が初めてという若月先生に聞きました。

ー今回の問題の考案に要した時間はどれぐらいでしょうか。

「1時間~2時間程度です」

 ー難易度はどれぐらいでしょうか。

「数学Aの「場合の数」です。入試等では易しいレベルですよ」

ー問題がSNSで注目されています

「自分でも奇跡的な問題だなあ、と思ったので、それが共有できてうれしいです」

ーあらためて受験生へ

「反省はしても後悔はしない!と覚悟を決めて、全力で頑張ってきてほしいと思います」

JRでの掲出は終わりましたが、国公立大前期試験付近の2月中旬から下旬に、全国で応援メッセージを掲出する予定です。担当者は「2022年は首都圏だけでなく、全国へ拡大して掲出を計画し、オール駿台として全国の受験生を応援してまいります。他の先生や職員のメッセージにも注目していただけましたら幸いです」と話しています。

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