雨に濡れそぼっていた子猫「失われた命の分まで」24時間つききりで育て、今では頼れる“お兄ちゃん”に

渡辺 陽 渡辺 陽

大声で助けを求めていた子猫

ラフィくんは、フィリピンの都心部、コンドミニアムの近くで兄弟一緒に雨に濡れそぼって鳴いていた。2021年3月2日のことだった。

フィリピンに住むしーなさんは、真夜中、パートナーと一緒に仕事から帰るところだった。子猫の鳴き声がしたので、鳴き声がする方を見てみると2匹の子猫がいたという。
「全身濡れていて、まだ目も開いていませんでした。おそらく生まれたてだったと思います。一瞬ネズミかと思ったのですが、子猫でした」

母猫が戻って来るのではないかとしばらく待ってみたが、現れなかった。1匹はかなり鳴き声が大きく、もう一匹は弱っていたのか全く鳴かなかった。濡れていたので身体がかなり冷えていたので、しーなさんは、「温めないと」と思い、2匹とも連れて帰ったという。

二人とも、実家にいる時犬を飼っていたが、猫は飼ったことがなかった。二人とも将来猫を飼いたいと思っていたが、仕事が忙しかったので多分飼うことはないだろうと思っていたという。そんな時に赤ちゃん猫を拾ったそうだ。

生き残った子を二人で育てよう

真夜中で動物病院も閉まっていたので、翌日早く起きて病院へ連れて行こうと思い、とにかく子猫たちを温めた。

翌日2匹を動物病院に連れていき、家に帰ってから子猫用のミルクを飲ませた。2匹ともスヤスヤ眠りについたのを確認したが、安心したのも束の間、数時間後、全く鳴かない子猫が亡くなった。
「とても悲しかったです。もう1匹は彼と二人で頑張って育てる決心をしました。私も彼も今まで猫を飼ったことなんてなかったので正直不安だったのですが、拾ったのも何かの縁だと思って、24時間体制で育てました」

しーなさんはパートナーと二人でフィリピンのマカティで日本食の居酒屋を営んでいるのだが、ラフィくんを店にも連れていき、鳴いたらミルクをあげて、排泄するのを助けた。
「店が終わって二人で帰った後は、彼が朝6時まで起きて面倒をみて、朝6時になったら私が起きて面倒をみるということを2カ月ほど続けました。そうして元気にすくすく育ったのが、靴下猫黒猫のラフィくんです」

ラフィくんを拾ったところにあった木が、「ラフィスエクセルサ」という名前の木だったのでラフィくんと名付けたそうだ。

猫ちゃんが4匹もいる幸せ

二人はその後3匹の保護猫を迎えたが、ラフィ君は仲間ができて嬉しそうだった。ごはんをもらっても、3匹の後輩猫が「ちゃんと食べてるかな」と確認した後に食べ始めたという。
ただ、ラフィくんが赤ちゃん猫の時、しーなさんやパートナーの手や足で遊ばせたせいか、結構強く噛んでくることがある。
「今はだいぶ減りましたが、たまに噛まれると痛いです。噛んできそうっていうのが分かるので、その時は水スプレーをかけてやめさせます」

4匹の猫と暮らすしーなさんとパートナーの同棲生活は、以前よりとても明るくなったという。
「二人とも動物大好きなので、家に猫ちゃんが4匹もいて、にぎやかで楽しいです」

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