奇想天外な遊具と、独創的おもてなしが話題の「次世代型遊園地」 営むのは超陽気なおじさんだった

京都新聞社 京都新聞社

 京都府京丹波町八田に住む男性が手掛ける遊園地「陽気ハッスルランド」が「個性的で面白い」と人気を集めている。これまで25のテレビ番組やネット動画で取り上げられ、うわさを聞きつけて東京や沖縄、海外から来園する人も。今年で開園から10年を迎えた「次世代型遊園地」に足を運んでみると、奇想天外な手作り遊具と、独創的なもてなしの数々が待ち受けていた。

 「よう来てくれた。ありがとー!」。笑顔で迎えてくれたのが、「陽気おじさん」こと吉村和夫さん(77)。付きっきりの案内で、早速アトラクションを体験させてもらう。

 初めに挑戦したのは「ペットボトル倒し」。先ほどくぐったゲートに躍っていた「次世代型」の文言を疑いそうな、原始的なゲームから始まる。水が入ったボトルにボールを当てて倒すというものだが、やってみるとなかなか難しい。やきもきしながら繰り返し投げていると、「はい次!」とあっさり次の遊具へ。何しろ40種類もあり、時間をかけていられないのだとか。

 人工の坂をそりで滑る「ボブスレー」は、幼少期のそり遊びを思い出す。風を切って斜面を滑るなんて、何年ぶりだろう。「滑りが良くなる」とそりの底と坂に石けん水を塗ってくれた。かなりの年季が入ったストラックアウトでは1枚の的に球が当たった衝撃で、同時に3枚が落下。手作りならではのハプニングもご愛嬌(あいきょう)だ。

 なぜこの地に遊園地を作ったのか。京都市西京区で建築会社を経営していた吉村さんは、花見ができる場所をつくろうと約300坪の土地を購入、手入れをして53本のサクラを植えた。約10年で立派に育ち、花見会が軌道に乗り始めた64歳の時、脳梗塞で倒れた。「生かされた命。人のために楽しいことをしよう」と仕事から退き、長年の夢だった遊園地づくりを始めた。

 「3歳から90歳まで同じ目線で楽しんでもらえる」をモットーに、これまで思いつくままに奇抜な遊具を次々に生み出してきた。ゴルフボールが敷き詰められた平均台や地面と平行につるした丸太に乗る「五右衛門風呂たたき」など、工夫が凝らされたユニークなアイデアが光る。幼い頃に遊園地に行けなかった経験から、無料開放にもこだわる。

 乗り物に身を任せ、スリルを味わう大型テーマパークでの楽しみ方とは違い、自由に体を動かし、吉村さんとコミュニケーションを取りながら双方向で満喫できるのが最大にして「次世代的な」魅力なのかもしれない。

 園内を一周し終わると、名物「陽気ラーメン」を振る舞ってくれた。スープの隠し味はなんとコーラとマヨネーズ。とびきりの笑顔で勧められては断れない。恐る恐る口に運ぶと案外おいしいから驚きだ。コーラの甘みがだしを引き立て、マヨネーズのコクでまろやかな口当たりになり、ちゃんぽんのような風味がした。

 「喜んでいる人を見て、喜ぶのが僕やから」。10年間、数え切れないほどたくさんの来園者を迎えてきた。一度行ったら忘れられない底なしのパワーと、来園者を無料でもてなし続けるホスピタリティには感服する。これからも変わらず、斬新なアイデアと唯一無二の遊具で来園者に元気を届けてほしい。

 要予約。土日曜・祝日のみ。年末年始は休園。再開は1月5日以降。吉村さん080(4011)7366。

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