プロ野球の「選手別応援歌」や、ここぞの場面でチームを勢いづける「チャンステーマ」。各球団の私設応援団が工夫をこらして作詞作曲するが、とりわけオリックス・バファローズの応援歌は「かっこいい」「手がこんでいる」と野球ファンからの人気が高い。そこで、日本シリーズ開幕を前に、緊急企画としてオリックスファン約300人に「好きな現役選手の応援歌」について聞いた。「初めて聞いたとき鳥肌がたった」「選手の野球人生を象徴している」「音楽史に残る傑作」…。ファンが誇る名曲を熱いコメントとともに紹介する。上位の結果は以下の通り。
【1位】T―岡田(69票) 長年歌われ続けている定番曲
長年歌われ続けている定番曲が堂々の最多得票。2010年にパ・リーグ本塁打王を獲得した後に作られたもので「ナニワの轟砲」の結びは強烈な印象を残す。メロディーに合わせて繰り返し「T!」と叫ぶ楽しさもポイント。「通常 ver.」と「得点圏 ver.」の2種類があるが、勇ましい前奏と歌詞が間に入る後者を推す声が目立った。
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〈得点圏 ver.〉
♪T! HOMERUN KING T! T! T.rex
ここで決める男 このチャンスをものにしろ
遠く遠く派手に飛ばせ ナニワの轟砲
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2019年のシーズン終盤、FA権を行使するのか去就が注目されたT―岡田。最終戦に代打で登場すると、ファンはこの応援歌に乗せてドームが揺れるほどの「岡田コール」を響かせた。その後、TはFA権を行使せずにチームに残留することを表明。「皆さんの声に心を動かされた」と最終戦の声援を振り返った。
【ファンのコメント】
・ 2014年のCSで逆転3ランを放った時や、去就が注目されていた2019年の最終打席の時のファンの大合唱は鳥肌ものでした(20代男性)
・究極にかっこいい曲調で、これぞオリックスのかっこいい応援歌!(20代女性)
・鳥肌モノ。これは現地で生の音を聞く価値あり。野球観戦を最高の思い出にしてくれる応援歌(20代男性)
・シンプルだけど、中毒性があって通勤中はいつも頭の中で流れています!(20代女性)
・登場曲が鳴り止み、始まる美しい前奏。岡田コール4回からテンポが上がり、チャンステーマのテンポに。そして通常時と違う「ここで決める男 このチャンスを物にしろ」の歌詞。アカペラ部分も凄くかっこいい(20代男性)
・イントロから、応援する私自身も奮い立つ気持ちになる。応援中目頭が熱くなる応援歌(20代男性)
【2位】吉田正尚(56票) 「令和の音楽史に残る傑作」の声
2018年の発表当時から人気の高い吉田正尚が2位。こちらも「通常 ver.」のほかに「境地ver.」(チャンス時に演奏)があり、どちらも威圧感のあるメロディーがクセになる。歌の部分は「辿り着く男の名は」で終わり、コールの「正尚」で文章を受けるという構成も珍しい。応援団員によると、細かい音程が連なるため相当演奏が難しいという。「乗り越え」の部分では急激に音階が上がる「オクターブ跳躍」が用いられるなど音楽的にハイレベルな技術が求められる。オールスターゲームで他球団の応援団が楽譜を見て驚く曲の一つだという。
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〈通常 ver. 〉
♪力を求める限り 幾多の困難乗り越え
前人未到の境地 辿り着く男の名は 正尚×4
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【ファンのコメント】
・「前人未到の境地」の部分のメロディーがシンフォニックな高まりを感じさせ、応援歌界に衝撃を与えた令和の音楽史に残る傑作(20代男性)
・軽快なトランペットが耳に残ってついついバイト中も口ずさんでしまいます!(20代女性)
・相手に威圧感を与え、なおかつこちらの士気を高めるようなメロディーと、ただただかっこよすぎる歌詞…控えめに言って最&高(30代女性)
・プロ野球応援歌という文化が達した一つの極み。福岡での公式戦で初演した時、歌いながらちょっと泣いた(50代男性)
・球場で歌う時が来たら興奮状態になるくらい大好き(10代男性)
・冒頭のアカペラ部分からもう心の底が滾ります!他球団のファンからも愛されてますし、誇らしく思う曲です(10代男性)
【3位】宗佑磨(28票) 勇壮なメロディーが高評価
もともとは川端崇義(外野手)の応援歌として作られたが、引退後の2018年から宗に流用。歌詞の最初の「胸」と選手名をかけている。演奏1回目のみ入りの手拍子が1拍空き、球場が一体感に包まれる。宗は歌詞の通りに壮絶なレギュラー争いに勝ち残り、今年2番サードに定着して優勝の原動力となった。
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♪胸の奥で熱く滾る 想い全て出し切れ
壮絶な争いに 勝ち残れ最後まで
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【ファンのコメント】
・宗選手自身の歌詞負けしない活躍ぶりが目覚ましい。彼だけでなく、チームも壮絶な争いを制して日本シリーズに駒を進めており、その象徴となるような応援歌だから(20代男性)
・1回目の入りの1拍空けるとこや、入りの「胸の」のメロディがたまりません!(10代男性)
・1拍目が休符から始まる。バロックに多い出だし。出だしのトランペットの響きもまた心地良い。あとはリズム打ち。連打。勢いを感じる。リズム感のある宗リンにピッタリ(60代女性)
【4位】後藤駿太(27票) レギュラー選手をしのぐ人気
主に守備固めや代走として活躍し、今シーズン17打席の後藤駿太が、レギュラー選手を上回って4位にランクイン。「上野の駿馬(こうずけのはやうま)」、「薙ぎ掃え(なぎはらえ)」と難読漢字が盛り込まれ、疾走感のあるメロディーラインで人気が高い。「上野」は本人が群馬県出身であることに由来する。
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♪行け!走れ!Go!駿太
容赦なく切り貫け 迫る敵を薙ぎ掃え
上野の駿馬よ 走り続けろ
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【ファンのコメント】
・「野球の応援歌はこういうもの」という固定観念がぶっ壊されるかっこよさ(20代女性)
・メロディが最強にかっこよいのですが、間奏部分の転調がたまらなく好き!!!もっと活躍してもらって毎試合聞きたいです!(40代女性)
・歌詞もメロディーもかっこいいからです。(コロナ禍が明けて)歌えるようになったら球場で歌いたい応援歌No.1です(20代男性)
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5位以下の主な結果は以下の通り。5位 福田周平(23票)▷6位 安達了一(22票) ▷7位 杉本裕太郎(17票) ▷8位 ラベロ(10票)▷9位 ジョーンズ(9票)▷10位 紅林弘太郎(7票)▷11位若月健矢、Bsメインテーマ(4票)など。
【ファンのコメント】
〈福田周平〉「覚悟を決めた心で」の歌詞が、今季試合に出る為に経験ないセンターに挑戦した福田選手の気持ちそのものなのが良いです。メロディもカッコいい。応援歌は基本4/4拍子で16小節だけど、この曲は17小節と超変則的なのが馴染み難いけど慣れるとカッコ良く感じれる(40代男性)
〈安達了一〉「本能のままに」のメロディーが渋くて格好いい。2回目の「猛れ」で3回拍を打つところのメリハリがいつ聴いてもグッとくる(20代男性)
〈杉本裕太郎〉威圧感のあるメロディと、HRバッターに似合う歌詞。濱中治選手→竹原直隆選手→杉本裕太郎選手と、この曲が似合う選手に流用されていて好き(20代男性)
〈ラベロ〉当時ラロッカ選手の応援歌で、初めて聴いた時に鳥肌が立つくらい美しいメロディラインに魅力されたため。オリックスファンになるきっかけの一つにもなった曲だから(20代男性)
〈ジョーンズ〉アメリカ国歌を彷彿とさせるメロディの前奏 メジャーリーグで数々の伝説を残してきた“大物”感がひしひしと伝わる歌詞が印象的 (20代男性)
〈紅林弘太郎〉歌詞の「紅」蓮繋がりで下山真二選手の流用ですが勇壮な名曲が復活したのは嬉しいです。(20代男性)、近鉄末期に作られた真紅を忘れない歌詞、それを紅林が引き継いだことが嬉しくてたまらない(20代男性)
〈大城滉二〉独特の沖縄音階もいいですし、ハイヤーサーサーの合唱が好きです。(50代男性)
〈伏見寅威〉歌詞の「弛まぬ努力極み」「ひたむきな精神」 というワードが、大怪我を乗り越えた彼のプロ野球人生を象徴しています。個人的には北川選手の流用が歌詞も合ってて素敵かなと思っていたのですが、星野選手の流用が決まった時とてもしっくりきました(20代男性)
〈Bsメインテーマ〉低迷していた時期によくお世話に()汎用とは思えない手の込んだ曲調(20代男性)
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※アンケートはツイッター上で行い、10~70代の男女311人から回答を頂いた
※応援歌歌詞は球団公式ホームページより抜粋。〈制作〉オリックス・バファローズ私設応援団、大阪私設應援團 大阪紅牛會・笑丑會、神戸蒼誠会、天体観測、松原猛牛会
※応援歌情報は、大阪紅牛會のツイッターアカウント(@deepredbulls)などで更新されます
※選手の敬称は省略しています
(まいどなニュース/神戸新聞・小森有喜)