「諸般の事情により、この度仔猫を飼い始めました……何故かこのタオルがお気に入りで離してくれないので名前は『しきじ』にします……」とつぶやき、1枚の写真をツイッターに投稿した、いきなり若旦那旅館×SNSさん(@wakadanna_coo)。
そこに写っていたのは、肌触りの良さそうなタオルに包まれ、可愛い瞳で飼い主さんをじっと見つめる子猫の姿!「かわいいいいいい」「あのサウナの聖地のしきじのタオルじゃないですかぁ」と、予想を上回る子猫の愛らしさと、その名前の由来となったタオルのロゴに歓喜のリプライが殺到。約22万ものいいねがつきました(11月13日現在)。
「サウナしきじってあのサウナしきじ!」
「サウナの聖地にちなんだお名前ですか、粋ですね」
「地元のサウナ屋さんなんで、しきじちゃんに愛着湧いてしまいました」
「きっとこのタオルだと、ととのうのでしょうね」
「いつか大和屋さんのねこ旦那かねこ女将になるのかな?」「これは看板猫になる予感!」というリプライも寄せられていたように、しきじちゃんの飼い主さんは、創業150年の老舗旅館『道後温泉 大和屋本店/大和屋別荘』の若旦那さん。アカウント名の通り、20代にして”いきなり”旅館を継ぐことになったという、若き経営者です。
そんないきなり若旦那さんの趣味は、「サウナ旅」。子猫のしきじちゃんが気に入って離してくれないというタオルは、サウナ好きの間で「聖地」として知られる静岡県にある人気店『サウナしきじ』のロゴ入りタオル。するとツイートが話題になった直後、「しきじの娘です!なんと!!!!!ありがとございます。嬉し過ぎます」と、『サウナしきじ』の娘さんからリプライが。
「お名前に恥じぬよう、大切に育てます!」と返答していたいきなり若旦那さんに、しきじちゃんのこと、しきじちゃんをお迎えすることになった「諸般の事情」などについて、お話を伺いました。
ーー『サウナしきじ』のタオルに包まれたしきじちゃんの可愛さに癒されました…。しきじちゃんをお迎えすることになった「諸般のご事情」が気になっています。
「自宅付近で親猫の姿もなく佇んでいるところを目にし、あまりの愛らしさに1週間ほど餌をあげたりしていると、だんだん仔猫の方から私へ寄って来るほど懐き始めました。それまで一度も親猫の姿を見なかったこと、これからさらに寒くなっていく中で、果たして生き抜くことができるのかと不憫に思い、保護して自宅で飼うことを決めました」
ーーそうだったのですね…。しきじちゃんは男の子?
「はい。保護した日に連れて行った獣医さんの診断によると、生後2カ月ほどのオスで、ヨーロッパ系の血が強いそうです。保護した時もそうですが、動物病院に連れって行った時も、獣医さんが驚くほどおとなしく、ノミの検査などで身体を触られてもなすがまま、といった感じでした(笑)。飼い始めて2日目にはもう、鼻キッスをしたり、私のベッドで隣に寝るようになり、野良猫でここまで人懐っこい子はかなり珍しいのではないでしょうか…」
ーーしきじくんの名前はお気に入りの『サウナしきじ』のロゴ入りタオルが由来とのことですが…。
「漫画『サ道』をきっかけに、3年前から私がサウナにハマっており、サウナを目的に旅行する『サ旅』が増えてきました。『サウナしきじ』さんはサウナの聖地として昔から存じており、先月やっと念願叶って伺うことが出来ました。しきじを包んでいるタオルはその際、自分へのお土産に買ったものです。
しきじを保護した後、何か掛けるものはないか探していて、ちょうど良いサイズ感だったので一時的に使用していたところ、気に入られて取られてしまいました(笑)。でも今回のツイートをきっかけにしきじさんのご家族である笹野様とご縁ができ、名前の使用についても快くお許しを頂いています」
ーーお墨付きの名前なのですね!お気に入りのタオルはやはり肌触りが抜群なのでしょうか?
「自分へのお土産に買ったばかりで、私自身は未使用なのですが、質感などは一般的なタオルとそうは変わらないと思うのですが…(笑)」
ーーツイッター初登場にして約22万ものいいねがつくなんて、もはや大和屋さんの招き猫ですね。
「私は150年以上続く旅館を営む家系の子孫で、いわゆる本家筋の長男なのですが、元々継ぐ気は全くありませんでした…。しかし、『経営者』に対する強い憧れが昔からあり、自分で起業するのではなく、家業で自分の目指す『経営者』像に近づけるよう、入社して今に至っています。
旅館・ホテルの経営者に高齢の方が多いこともあり、宿泊業界ではまだ、IT化やWebマーケティングにちゃんと取り組んでいる会社がほとんどないような状況です。弊社では、旅館業界しか見ないのではなく、異業種や様々な事象での成功例を持ち込んだり、SNSもWebマーケティングの施策のひとつとして運営しています。その結果、無料での集客や他との差別化も出来ており、そういった点でも経営者として面白く感じています」
◇ ◇
慣習にとらわれず、現代の感覚で老舗旅館の運営に取り組む若き経営者。今後も、「家業とは別会社で、道後にサウナ施設を作ろうと計画しています」と語る若旦那さん。
「大和屋別荘は、 "本質的日本旅館" であり、大和屋本店はホテルと旅館のいいとこ取りをした "ネオ旅館" を体験いただける施設で、どちらも違った魅力があります。別荘はぜひお1人やご夫婦で、本店はカップルやお友達とお越しになられると愉しみが増すかもしれません」(いきなり若旦那さん)
そんな若旦那さんのもとにある日突然現れた、可愛い野良の子猫、しきじくん。生後2カ月、そしてツイッター初登場にし早くもバズった将来性抜群の看板猫くんとともに、いきなり若旦那さんの挑戦は続きます。