「もし子どもに親ガチャ失敗といわれたら…」 悩むシングルマザーを救った言葉

長岡 杏果 長岡 杏果

最近、「親ガチャ」という言葉が流行っています。子どもや若者を中心によく使われていて、比較的新しい言葉ですが、親世代でも聞いたことがあるという方が増えてきています。

「親ガチャ」とは、「子どもは親を自ら選ぶことはできない」という意味です。人生を大きく左右する家庭環境や境遇などは運任せだということを指します。顔・身長・体型・経済状況・頭の良し悪し・毒親・育つ環境など、当てはめられる内容はさまざまです。

ソーシャルゲームによくある課金サービスやショッピングモールなどにあるカプセルトイで、いわゆるガチャガチャがあるのですが、何が出てくるかわからないところから、親とガチャガチャを組み合わせてできた言葉です。

親ガチャという言葉が流行した理由には、いまの情報社会と経済格差が関係しています。

現代ではSNSを通じて、簡単に他人の生活を見ることができます。ぜいたくな食事やパーティーの写真を載せる人を見て、「いいな。セレブだな」と憧れを持つとともに、自分との格差を感じた経験はないでしょうか。

そのため「私の親はお金持ちじゃないから、こんなぜいたくはできない。親ガチャ失敗」など、親ガチャの言葉を使って、他人と比べた投稿をSNS上で見かけることが多くなりました。

また近年では、毒親や児童虐待に関するようなニュースが増えていることからも、生まれてくる境遇について、子どもや若い人から親ガチャという言葉が流行したのでしょう。

親に対しての感じ方は、人それぞれ

神奈川県横浜市に住むTさん(40代・派遣社員)は小学2年生の息子さんがいるシングルマザーです。

最近、テレビ番組の特集で、親ガチャについて放送していたのを見たそうです。

街角インタビューでは、「背が低いのは、親ガチャ失敗」など、失敗について使われていることが多くて、複雑な気持ちになったそうです。

Tさんは、その番組を見ながら、「もし子どもに、父親がいない家庭に生まれて経済的にも苦しいし、親ガチャ失敗といわれたら、ショックだな」と思いました。

しかし特集の最後で、コメンテーターの方が「私は母子家庭で育ちましたが、幸せに育ったので親ガチャ失敗とは思わない。どう思うかは自分次第」と言ったのを見て、Tさんは、「親に対しての感じ方はそれぞれの価値観がある。私は私で愛情たっぷり育てよう」と思ったそうです。

   ◇   ◇

人生の良し悪しは親によるところも大きいですし、自分の努力ではどうにもならない部分もあると思います。しかし、自分が理想としている環境になるために、自分で努力をすることはやはり大切です。また境遇や親に対してどう思うかは自分次第です。いろいろな意見のある親ガチャについての論争はまだまだ続きそうです。

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