「ここが秋と冬の境界線」季節の変わり目を捉えた写真に大反響 「まるでティンカーベルの世界」「自然って凄い」

山本 明 山本 明

「今朝は秋と冬の境目が撮れました」

 秋から冬へと季節が変わる、美しい瞬間を捉えた写真がTwitterに投稿され大きな注目を集めました。10月18日に写真を投稿したのは安彦 嘉浩(@yoshihiro_abiko)さん。そのドラマチックな光景には「自然って凄い!」「一瞬、ゴッホの絵の質感かと思いました。白と黄色系のコントラストが」など、絶賛の声が次々と寄せられています。

 写真を撮影し投稿した、安彦 嘉浩さんは1989年生まれの山形県出身の写真家です。2016年北海道千歳市へ移住し、同地の風景と野生動物を撮り続けているのだそう。話題になった写真を撮影した経緯をお聞きしました。

――季節が移る様子をくっきりと捉えた美しい写真作品です。シャッターを切った瞬間の手応えはいかがでしたか?

 「これは綺麗すぎないか!?」と興奮しながら撮りました。シャッターを切った瞬間から手応えバッチリでした。

――「狙ってた青い池付近とかが全然雪なくてダメで即移動して正解でした」ともリプライなさっていましたが、狙っていた以上の作品が撮れた、ということでしょうか。

 青い池周辺は過去にも撮ったことがあり、そのブラッシュアップを狙っていました。それに対して、今回は新規開拓の場所だったので自分の作品群に幅を持たせることができました。そういう意味では狙っていた以上ですし、価値の大きい一枚になったと思います。

 ――さしつかえのない範囲で、撮影日と時間、撮影機材、そして撮影場所について教えていただけますか?

 日時は10月18日、朝の6時半頃、機材は、カメラは「SONY α1」、レンズは「SEL100400GM」です。

 場所は北海道富良野市の山の麓です、有名な山ではないので、自信を持って答えられませんが、手前が野花南岳、奥が烏帽子岳かと思います。撮影ポイント(撮影した場所)は富良野市ですが、写っている山々は隣町の芦別市の行政区分になるようです。

――具体的な撮影方法や構図へのこだわりについても教えていただけますでしょうか。

 SCWなどの天気予報アプリを見ると標高の高いところは雪が降り、標高の低いところは雨かもしれないということが予想できていました。標高の低いところから少し見上げる方法で撮影することで、手前は標高の低い秋の山肌、奥側に標高の少し高い冬の山肌をフレーミングし、秋と冬のコントラストを表現しています。

 構図については、上下で二分割にすると平面的で眠たい写真になってしまうので、斜めのラインを使って動きがあってメリハリのある写真になるように気をつけました。

――芸術的な美しい瞬間を収めた写真作品です。投稿に大きな反響があったことへの感想をお聞かせください。

 炎上ネタなどではなく、ポジティブな反響でバズれたのは嬉しかったし、やむことのない通知を楽しめました。写真関係の友達からは感想を貰うことがあっても、普段接点のない方々のコメントを貰うことはなかなかできません。今回、たくさんの人に見てもらえた中で、「カレー」に見えた、「ティンカーベルの映画」に見えた、「蟲師」のシーンかと思ったなど、僕だけで気付くことのなかった受け取り方を教えてもらい、写真って面白いなと改めて思いました。

   ◇   ◇

 最後にこれから厳寒の冬が訪れる北海道で、どんなモチーフが撮りたいか尋ねると、以下のような答えが返ってきました。「ジュエリーアイス、アイスバブル、ダイヤモンドダスト、流氷などなど厳冬だからこその美しさを追いかけていきたいです。それぞれを単体で撮って満足するのではなく、キタキツネ、エゾジカといった野生動物と共演させ、二度と撮れないような写真をゲットしたいです。北海道に住んでいるという最大の強みを存分に生かして活動していきたいと思っています。」(安彦さん)。ぜひ北の大地の荒々しくも洗練された美しい冬の光景を捉えた写真作品を、これからも発表し続けてほしいですね。

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