「家においておけない」段ボール箱に手紙、保護した子猫をボランティア団体の施設前に遺棄「身勝手過ぎる行為」

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「里親さんをさがすまで家においておけないと思い、
こちらにつれて来ました。
すいませんが、かってではありますが
よろしくお願いします。」

そんな言葉でつづられた手紙が貼られた段ボール箱。福島県いわき市にあるNPO法人動物愛護団体「LYSTA」(リスタ)の「保護猫ふれあいサロン」前に置かれていました。12日朝、出勤してきたサロンのスタッフが見つけ、すぐに警察へ連絡。駆け付けた警察官が段ボールを開けると、中には痩せこけた1匹の子猫が出てきました。子猫の遺棄でした。

さらに、サロン前に設置している防犯カメラには、車から降りてくる不審な女性が箱を持ってサロンに向かう様子が映っていたといいます。

「LYSTA」の代表・鈴木理絵さんは「子猫は生後2カ月くらいの三毛猫。遺棄した人は一度保護をされてから、私たちのところに連れて来たようです。非常に身勝手な行為…最後まで責任を持てないのであれば、保護すべきではなかったと思います。遺棄は犯罪です。警察に捜査してもらっています。やってしまったことは取り返しがつきませんが、自分から名乗り出てほしいです」と訴えます。

防犯カメラに車から箱を持って降りてくる女性が映っていた

鈴木さんによると、子猫の入った段ボール箱が遺棄されたのは12日の午前5時ごろ。防犯カメラには車から降りてきた女性が箱を抱え、サロンの前に向かったあと、すぐに車へ戻って行った様子が映っていたとのこと。車へ戻った際には、女性は何も持っていなかったといいます。

また、子猫が入っていた段ボール箱は、空気穴が全くなくガムテープがすき間なく貼られていたそうです。遺棄されたときの子猫の様子について「とても痩せていて元気がなく、鳴いたりしませんでした。そのまま人気のない場所に遺棄されていたら、空気穴もなかったので命が危なかったかもしれません」と鈴木さん。

動物病院に連れて行ったところ「鼻の奥がはれていたため、呼吸が苦しかったようです。だから、あまり鳴かなかったのかもしれません。目やにや鼻水は出ていないんですが、風邪をひいていました」と話します。

現在、子猫は高栄養の缶詰を食べるなど食欲もあり、元気を取り戻しつつあるとのこと。猫エイズや猫白血病の検査結果は陰性。風邪の症状が落ち着いたらワクチンを打ち、里親の募集を始めるそうです。

   ◇   ◇

「子猫を保護した」という電話相談が増加…ボランティア「最後まで責任を持って」

今年に入り、「子猫を保護しちゃったんですけど、どうしましょう」といった電話相談が増えているという鈴木さん。「かわいそうだから」という安易な気持ちでの保護について、こう訴えます。

「子猫の保護相談は1日何件も来ます。春の繁殖シーズンなど多いときは1日10件近くも…。どこのボランティアも、キャパぎりぎりで保護しているところが多い状況です。そこで、ボランティアに丸投げされても困ります。私たちも子猫を保護ができない状況にあります。

そもそも、最後までみる覚悟がなければ保護するべきではないです。自分が助けたいと思ったら、自分でやるしかないんですよ。そんなときはぜひ子猫のお世話の仕方などをお伝えしますので、私たちボランティア団体にご相談していただければサポートいたします」

現在、鈴木さんが代表を務める「LYSTA」では、運営する「里親募集型保護猫ふれあいサロンOhana」と「LYSTAシェルター」で、合わせて犬猫約150頭を保護しており、多頭飼育現場などで生まれた子猫の保護以外は受け入れていないとのことです。

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■Twitter:「NPO法人動物愛護団体LYSTA/里親募集型保護猫ふれあいサロンOhana」(@lysta2011)
https://twitter.com/lysta2011

■ホームページ:「NPO法人動物愛護団体LYSTA」
http://lysta.org/

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