「怪我と皮膚の病気で、瘦せ細った猫ちゃんを保護して4か月でこんなに可愛くなりました。穏やかでとてもいい子。幸せになろうね」と、ハチワレ猫さんのビフォーアフターをTikTocに投稿した「@momoringo33」さん。動画には、痛々しく首がただれた猫が、ふっくらとした美猫になるまでの軌跡が数枚の写真でつづられています。
幸せそうな姿を見せてくれた猫さんの名前はハチ君。歯が数本ないことから、5~10歳と推測される男の子です。過酷な外での生活から一転、深い愛情に包まれた日々が想像できる動画には「ひどい傷!幸せになれたんですね」「優しいお顔になりましたね」「回復して幸せそうな様子に癒されました」と感激のコメントが多数寄せられました。
障がい者施設で働く飼い主さんに、ハチ君との出会いから、回復して元気になるまでの道のりを伺いました。
――ハチ君とはどこで出会われたのですか?
自宅の庭です。数年前からたまに姿を見せていましたが、警戒心が強くて近づけない子でした。昨年の年末からしばらく姿を見せなかったので心配していたのですが、今年の4月に、痩せ細ってひどい傷を負った状態で庭に現れ、大声で鳴いていました。
――保護されることに迷いはなかったですか?先住猫さんもいらっしゃるようですし…。
先住猫と仲良くできるのか、家族の同意は得られるのか、と一瞬迷いましたが、ボロボロの姿を見て「いま保護しないと、この子は生きていけない。私も後悔する」と思って保護しました。ケージにエサを用意して庭に置いたら、よほどお腹が空いていたのかすぐに入ってくれました。
――首の傷が痛々しいですね。
グジュグジュした傷が広がっていて、皮膚が見えている状態でした。また、皮膚炎で毛が生えていない部分もあり、掻きむしった傷がいたるところにありました。ただ、私はすぐに夜勤に行かなくてはならず、家族の同意も得ていない状態だったので、その日は職場に連れて行きました。事務所の一角を借り、ダンボールで囲いを作ってひと晩を過ごさせました。
――夜勤を終えられてすぐ、動物病院を受診されたとか。
はい。少しでも早く診てもらいたくて、会社近くの病院に連れて行きました。皮膚病は疥癬ということで、その薬や首の傷の塗り薬、ノミダニ駆除薬などを処方してもらい連れ帰りました。犬派の主人に打ち明けるのが心配だったのですが、ボロボロの姿を見て「いいよ」と言ってくれて。高校生の息子たちも反対しなかったので、無事家族として迎え入れられました。
――その後、身体は順調に回復していったのですか?
皮膚病は治ったのですが、首の傷がなかなか良くならず…。先住猫たちが通っている病院に変えてみたところ、塗り薬で治る傷ではないと診断され、皮膚を切る手術をしました。実は皮膚病が治った段階で去勢手術と血液検査をしていて、その際に猫エイズ陽性だとわかったのですが、エイズも傷が治りにくい要因だったようです。
――術後の経過はいかがでしたか?
手術した箇所の毛はもう生えてこないですが、傷はきれいに治りました。エイズも発症しておらず、元気いっぱい、食欲旺盛で先住猫の誰よりも体重が重くなりました。
――猫エイズということは、先住猫さんとは隔離生活をされている?
疥癬とエイズということで、2カ月くらいは部屋を分けて生活していました。そのまま隔離生活を続けるか、里親を探すしかないと思っていたのですが、ストレスを減らして免疫力をつければエイズを発症しない猫ちゃんが多く、また、流血するような喧嘩をしなければ感染しない可能性もあると聞き、先住猫との距離感を見定めて、今は同じ空間で過ごさせています。今の飼育方法が正解とは言えませんが、我が家のやり方で暮らしていこうと思いました。
――先住猫さんたちとは程よい距離感なのですね。
わが家には、杏(あんず)と大和(やまと)という2匹の先住猫がいますが、杏は1匹で過ごすのが好きで、ハチが近くにいても素通りです。一方で大和は、隔離しているときからハチと仲良くしたかったようで、よく2匹で一緒にいます。とはいえ、グルーミングするほど仲良しなわけでもなく、大げんかをすることもない。おっとりして控えめな性格のハチとは、それぞれちょうどいい距離感のようです。
――ハチ君は穏やかな性格なのですね。
そうですね。数カ月前まで野良だったとは思えないくらい甘えん坊で、寝るときも寄り添ってきてくれます。撫でられるのが大好きで、喉もたくさん鳴らします。我が家にとっては3匹目の保護猫ですが、愛おしくて癒してくれる、かけがえのない存在です。
――そんなハチ君の幸せそうな様子に、たくさんのコメントが寄せられました。
「保護してくれてありがとう」「顔が優しく幸せそう」と言ってくださるのが嬉しかったです。「飼い主さんと猫ちゃん、世界一幸せになってください」というコメントもあり、素敵な言葉に心温まるものがありました。外でがんばって生き抜いてきた分、これからは幸せにしてあげたいと改めて思いました。
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