Twitterユーザー「オサム」さん(@osamusanta)が公開した小学3年生の娘さんが作った短歌が注目を集めています。
「雨のなか 君と出会った 放課後に 行けたら行くわ タイムマシンで」
オサムさんが写真とともに「小三娘が作った歌が妙にエモい。悔しい」と投稿すると瞬く間に拡散。4日午後6時現在、14万を超えるいいねが寄せられています。
父親の選評「あいつ青春の鬼なのかな」
写真に写るカードは出版社、幻冬舎(本社、東京都渋谷区)が発売したカードゲーム「57577 ゴーシチゴーシチシチ」。5音と7音のさまざまな言葉が印刷されたカード各54枚を自由に組み合わせて短歌を作り、対戦相手と作品の出来を競うというゲームです。
5音のカードには「放課後に」「話してよ」「とけてゆく」「ざわざわと」「泣きながら」など、7音のカードには「制服のまま」「虹を見つけた」「どこかの星へ」「パン屋の前で」などがあります。
「短歌カードゲーム57577を遊び尽くしてる4天王のうち1人に入れるのではないかというレベルで遊んでいる」というオサムさん。娘さんや自身の作品を撮影してはTwitterに投稿しています。「キュンキュン」がほとばしる娘さんの作品と、パンチのあるオサムさんの選評の一部を紹介します。
娘さん作:「遅刻して ドキドキしちゃう 待ち合わせ 君と出会った 夏のはじまり」
オサムさん評:「なんですかね、この青春感は。あいつ青春の鬼なのかな」
娘さん作:「こっそりと パジャマ姿の 待ち合わせ あわてんぼうの 運命の人」
オサムさん評:「親に内緒で幼馴染と夜待ち合わせ、君はあわてんぼうだからパジャマ姿、ということらしい。エモすぎて怖い」
一方、オサムさんの作品も「姫君と 海を見ながら 逃げ出した ペリー来航 ドキドキしちゃう」「もふもふな ヤッホホゴリラ 炎上し バナナを食べて おやすみなさい」などユーモアあふれるものばかり。娘さんとはこんなやりとりもあったようです。
「『伝説の メンバー募集 遅刻して…』て読みだしたら娘に『おい伝説呼んどいて遅刻はねえぜ!』とダメ出しされました」
この父娘だからこそ、エモい作品が続々生まれることにも納得です。
困惑する父親「短歌アカウントじゃないし…」
TwitterのDM機能を使い、投稿主のオサムさんに話を聞きました。
ーーお嬢さんの作品が大変注目を集めています。
「郷愁誘う秋の気候と娘の歌がタイミング良く合ったのではないかと思います。嘘です。ただただびっくりしています。まあでも私がバズったわけではないので何処か他人事です。娘ですから。ただ今回の件で増えたフォロワーはこれどうしたもんかなと思います。ねぇ。短歌アカウントじゃないし。ありふれたおじさんアカウントだし」
ーーお嬢さんは普段、どんな性格のお子さんですか?
「娘の性格ですか。マグロばりに動いてないとしぬタイプだと思います。いつも何かしら探しているジュブナイル小説の主人公ような人間です。意外とクラスで優等生らしいですが信じられません」
ーー実際に遊んでみた感想は?
「ルールに沿っていてもいなくても楽しいのが魅力です。ちょっとした空き時間に2、3枚引いて出た言葉の物語を考えるのが楽しいです。子供は57577のリズムで遊ぶのを楽しんでいます。どの世代がやっても楽しいと思います。日本語を学んでいる海外の方なんかにもいいんじゃないでしょうか」
出版社編集者「投稿者様には足を向けて眠れません」
幻冬舎にもTwitter上での盛り上がりは届いているのでしょうか。
「ツイート投稿者様には足を向けて眠れません」と語るのは同商品の編集担当者、渋沢瑶さん。
渋沢さんは「この度、小学生のお子様がつくった“エモい”短歌に14万を超える『いいね』をいただいたこと、大変うれしく思っております。正直なところ『短歌』であるだけに楽しめる方を限定してしまうのでは…という懸念もありましたので、ここまで多くの方に受け入れられたことに大変驚いております」と驚きを隠せない様子。
7月末に発売後、重版分も含めると累計発行部数は1万3000部を記録。「書籍などと比べてしまいますと、まだこれからという数字ですが、玩具としては好調な方でございます」。
「このゲームは想像力があればあるほど楽しめます。カードを並べ替えるだけで自分だけの世界を作ることができる楽しさを、ぜひ多くの方に体験していただきたいです」(渋沢さん)
▽商品名「57577 ゴーシチゴーシチシチ」。ゲームデザインなべとびすこ、天野 慶。税込み1760円。全国の書店、雑貨店、玩具店、ネットショップなどで販売中。