「馬房に敷くおがが不足しています…」 東京農工大学・ミニホースの会の切実な投稿が話題に

中将 タカノリ 中将 タカノリ

「現在、ミニホースたちの馬房に敷くおがが不足しています…」

東京農工大学の公認サークル「ミニホースの会」の切実な投稿がSNS上で大きな注目を集めている。

「馬たちの健康に関わる深刻な問題で、部員一同困っております。もし提供してくださる方などいらっしゃいましたら、DM等でのご連絡お待ちしています深くお辞儀した人馬たちの快適な暮らしのために、よろしくお願いします!!」

馬房におがくずが敷き詰められている光景を目にした人は多いと思うが、おがくずは馬を飼う上で欠かせないもの。それが手に入らないと言うこの緊急事態に、SNSユーザー達からは

「年々おがくずは入手困難になってきてます。
長芋の出荷で大量に使うのですが、納品先では産廃扱いで処理に困ってるところが多いはずなので、スーパーのバックヤード等に声をかけるとあるはずです。」

「近所の府中刑務所でかなりの量が出ているんじゃないですかね。
木工製品を制作されているので。
ダメ元で問い合わせしてみてはいかがでしょうか」

「おが屑の確保って難しいですよね。。。
うちの馬術部ではおが屑確保が難しかった時は学校のシュレッダー済の紙を床材に使っていた日のことを思い出しました。
一日も早くおが屑確保ができますように!」

「亡き父が大工でしたが、おがくずを牛小屋へ提供していました。
学生さんの実家や知り合いの方などで大工さんがいらしたら声かけてみてください。
活動が継続できますよう祈ってます」

など数々のコメントが寄せられている。

代表で同大学の農学部共同獣医学科所属の大和久健太さんにお話を聞いた。

中将タカノリ:ミニホースの会はふだんどのような活動をされているのでしょうか?

大和久:ミニホースの会は東京農工大学の公認サークルとして2003年3月より活動を開始し、今年で19年目を迎えます。

本会は

「ミニホースの飼育・調教を通じて、

(1)命の大切さを学び

(2)社会貢献活動を行い

(3)ミニホースに関する知識や経験を外部へ発信し、これらの活動を通じて豊かな人間性を育む」

という目標のもと活動しており、現在3頭のアメリカンミニチュアホースを飼育しております。

新型コロナウイルスが流行する以前は、馬について知ったり興味を持っていただける様に、地域のお祭りやイベントにミニホースを連れていき、ふれあい体験や乗馬体験、馬車などを積極的に行っていました。現在は感染症対策の観点よりイベント活動は休止しています。部員数は現在72名で、普段は当番制で給餌や運動、調教活動を行っています。

中将:おが不足になっているのはいつ頃からでしょうか?

大和久:年によりますが、毎年秋ごろになると少なくなることが多いです。

現在、複数の材木屋さんなどからおがを頂いているのですが、近年、閉業してしまう材木屋さんが多く、年々、おがくずを譲ってくださる材木屋さんが少なくなってきているのが大きな理由です。また、季節によってはおがくずがあまり出ない材木屋さんもあり、これもおがくずが不足する理由の一つです。

私たちが使っているおがくずは本学の馬術部さんと共同で利用しており、両部で新たなおがくずの入手ルートを探してはいるのですが、立地やおがくずの質などの条件が合致する提供先がなかなか見つからないのが現状です。

中将:おが不足により引き起こされる悪影響にはどのようなものがあるのでしょうか?

大和久:私たちはおがくずを敷材として使用しています。1日1回の馬房清掃の際に、糞や尿でよごれたおがくずを取り除き、取り除いた分新しいおがくずを追加しています。おがくずは馬が馬房内で快適に過ごせる環境を作るのに不可欠なものとなっています。

快適な環境を作るためにおがくずは大きく分けて

①蹄を守る

②寝床

という2つの役割があります。

おがくずは湿気・水分を吸収することで、馬の蹄を病気から守ってくれます。馬の蹄は湿気にあまり強くありません。そのため、馬房などの長時間滞在する場所の環境が湿っていると、蹄の病気になるリスクが上がります。馬の蹄は第二の心臓と言われており、血液循環に大きな役割を果たしています。そんな大事な蹄を湿気による病気から守るために、おがくずが乾燥した環境を作ってくれます。

また、おがくずはふかふかのため馬が気持ちよく寝転がることができ、馬が寝転がっても地面からの熱吸収をある程度抑えて体を冷えにくくする効果があるため、寝床としても最適です。

これらの理由から、おがくず不足は馬の健康な生活に欠かせないものとなっています。

中将:これまでのSNSの反響へのご感想をお聞かせください。

大和久:正直、ツイートにここまで反響があるとは想像もしませんでした。大規模に拡散していただいたお陰で本当に多くの情報が集まりました。拡散していただいた方たちには、本当に感謝しています。

また、馬に関係する方々だけでなく、今まで馬に関わりの無かった方々まで拡散していただきました。このツイートを目にしたことを機に、馬について何か少しでも興味を持って下さったら本当にうれしいです。

◇ ◇

 社会構造の変化によって年々手に入りにくくなっているというおが。しかし、ミニホースの会の投稿に寄せられた声によれば、若干数ではあるがおがを定期的に廃棄している業者は存在するようだ。

ミニホースの会をはじめ、全国の馬を飼う団体のもとにおがが安定供給されるような仕組みが構築されればいいのだが。

ミニホースの会
ミニホースの会Twitterアカウント:https://twitter.com/miniho_tat
Instagramアカウント:https://www.instagram.com/miniho_tat

 

東京農工大学馬術部
Twitterアカウント:https://twitter.com/noko_uma
Instagramアカウント:https://instagram.com/tuat_bajutsu?utm_medium=copy_link

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