日本一小さな植物園として知られる東京都の渋谷区ふれあい植物センター。今SNSではどういうわけか、 この植物園が公開したロッカーのMVさながらの動画が大きな注目を集めている。
散水ホースのヘッドをマイクのようにわしづかみにし、 植物園の温室の中で感極まったロックスターのように歌い踊るオーラ満載の女性…。その姿はまるでウッドストックのステージに立つジャニス・ ジョプリンか、伝説のカルト映画「太陽を盗んだ男」でボブ・ マーリーを熱唱する際の沢田研二のようだ。
「全国の植物園の存続とスタッフの幸せを祈願し夜な夜な液肥をまいて祈りを捧げる秘密結社: 日本植物園協会に提出する動画を撮影せねばならず、 色々工夫してみてるんですけど、 どう考えてもこれは正解ではないって分かってるけど、 なにをどーやっても、こーにしかならんのよ。 これが渋谷の正解なんよ。」と、この動画を公開したのは園長の宮内元子さん(@fureai_ miya)。
SNSユーザー達から
「秘密結社のおかげで、植物どもが生き生きしてますね。 がんばってー((๑✧ꈊ✧๑))」
「緑の妖精が踊っている…✨🌿🌷🌳✨楽しそうで素敵です」
「この方のショーは何時と何時にやっていますか❓(^_^)a」
「渋谷ーーーっ!盛り上がってるかーーー‼︎まだまだいけるかーーー!!!」
など数々の絶賛のコメントが寄せられているこの動画は、果たしてどのような経緯で制作されたのだろうか。
宮内さんにお話をうかがってみた。
中将タカノリ(以下「中将」):歌い踊っておられるのは宮内さんご本人でしょうか?
宮内:はい、本人です。
中将: この動画はどのような目的のために制作されたものなのでしょうか?
宮内:日本植物園協会のYouTube番組で10月に放送予定の全国の植物園を動画でつなぎ紹介する動画リレーが企画されており、弊園を紹介する動画を模索していました。今回アップした動画はボツの動画で、 本番では違う動画を使用する予定です。
中将:インパクトの強いボツ動画ですね(笑)。この独特のテイストはどのようなアイデアから生まれたのでしょうか?
宮内:残念ながら常にこのテイストで生きております。今回も考えている最中にカメラを向けられたのでいっちょ踊っとくかという経緯です。
中将:これまでのSNSの反響はいかがでしょうか?
宮内:正直、通常営業の投稿が大反響をいただきびっくりしました。 この動画をご覧になって「癒される」と仰る方々、お疲れがたまっているのではないかと心配です。植物園は癒しの空間ですので、 お近くの植物園で気分転換していただきたいです。嘘です。 ウハウハです。ありがたいの一言しかありません。
また他の植物園から、「#秘密結社日本植物園協会のエアコンサート」と題して新たな動画がTwitterにアップされました。「新たなブーム到来なるか?」と感じています。
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日本で一番小さい植物園として17年間愛され、さらに今回大注目を集めた渋谷区ふれあい植物センターだが、実は行政の方針により12月末に閉園が決定している。
「お一人でも多くの方に、 渋谷に植物園があったことを知っていただきたいです。また、日本にはたくさんの植物園があります。お住いの近くの植物園にぜひ足をお運びいただきたいです」と宮内さん。渋谷区ふれあい植物センターの存在を心に留めつつ、今ある全国の植物園がそれぞれの地域でさらに多くの人に愛されることを願いたい。
【渋谷区ふれあい植物センター】
所在地: 東京都渋谷区東2-25-37
※各線渋谷駅が最寄り