ブリーダー崩壊、糞尿の悪臭漂う現場からレスキューされた猫 おっとりした姿に優しい気持ちになれる

渡辺 陽 渡辺 陽

ブリーダー崩壊

ちくわちゃん(2歳・オス)は、2020年5月、埼玉のブリーダー崩壊現場から助け出された。ボランティアらにレスキュー要請があったのは5月27日の夕方で、5月末までに保護しなければ保健所に連れていくという話だった。ブリーダーが5月末日に立ち退きを要求されていたからだった。

ブリーダーは、アメリカンショートヘアとスコティッシュフォールドの繁殖をしていたが、猫たちは狭くて悪臭漂うケージの中に閉じ込められ、排泄物の清掃をしてもらえなかったので糞尿まみれになっていた。ごはんも満足にもらえずガリガリにやせていて、猫風邪などの病気にもかかっていたという。猫は全部で36匹おり、猫カフェファニーキャットは30数匹の猫をレスキューした。その一報を受け、埼玉の各団体が動いた。そのうちの小さな団体であるNPOあにまるこねくとが、ちくわちゃんを含む2匹を預かった。ちくわちゃんは猫風邪をひいて下痢をしていた。

警戒心強めの猫

埼玉県に住む野口夫妻は子供がおらず、子供のつもりで猫を迎える決断をした。飼い主募集サイトでちくわちゃんを見つけたのだが、もともとエキゾチックショートヘアを欲しいと思っていた野口さんは運命を感じたという。「なんともいえない表情と決して美形ではない顔に魅力を感じました」

9月23日に会ったちくわちゃんは、控えめでのんびりした感じだったが、かなり警戒していた。一緒に保護された猫は、人懐っこい甘えん坊だったが、それを遠くから見ているようで懐いてくれるのか心配になったという。「もう1匹の猫に心が揺れ動いたのですが、ちくわを迎えに行ったのであきらめました。多頭飼いも考えたのですが、猫を飼うのは初めてだったので1匹だけにしました。甘えん坊の子もかわいいですが、ちくわみたいなツンデレも猫らしくて惹かれたというのもあります」

家にやってきた最初の日、ケージの中でじっとしていたが、少し出してみると家の中の探検を始め、クローゼットの中に隠れて5時間ほど出てこなかった。「やっと出て来たときには、少し気を許したのか近づいて来てご飯を食べたり、用意していたおもちゃで遊んだりしていました。翌日にはソファの隣で寝るようになり、思ったよりスムーズに心を開いてくれました」

10月2日、正式に譲渡。ちくわちゃんの名前は、素朴な顔なので和名が良いと思い、体の模様がちくわの焼き目のようだったことからだ。

眺めているだけで笑顔になれる

おっとりしていて、あまり鳴かない。どんくさく、運動が苦手で、警戒心が強く、新しいものはなかなか受け入れない。「でも、とても甘えん坊で、初めて留守番をさせた時、普段鳴かないのに、鳴いて扉の窓からずっと見つめていて、行くに行けなくなってしまったんです。とても可愛く愛おしくなりました」

その姿を眺めているだけで笑顔になれるという野口さん。家に帰るのが毎日楽しみで、寄り道をすることがなくなったという。

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