原っぱで行き倒れていた子猫、九死に一生を得る 里親のもとで元気に飛び跳ね、走り回るように

渡辺 陽 渡辺 陽

原っぱで倒れていた子猫

むぎちゃん(生後約10カ月・メス)は2020年12月、東京都内の原っぱで瀕死の状態で倒れていたところを保護団体のボランティアに保護された。 

全身濡れていて低体温状態。目は開かず、声も出せなかったので、動物病院で点滴などの治療を受けさせた。生後2カ月くらいだったが、体重はわずか65gだった。後に埼玉県川越市の「またたび家」が引き取り、里親を募集したという。

肝が据わった子猫

東京都に住む星さんは、2020年の年末にアパートから一軒家に引っ越した。

「私も夫ももともと猫が好きだったので、そのうちお迎えしたいなと思っていました。 生活が落ち着いてきた頃、近くのホームセンターで譲渡会があることを知り、参加してみました」

2021年3月28日、星さんは譲渡会でむぎちゃんにひとめぼれした。

「他の猫たちはうずくまっていたり怯えていたりしたのですが、むぎはせっせと毛布でふみふみしていて、この子は肝が据わっているのかなと思いました(笑い)」

星さんは、またたび家のスタッフから、脱走防止柵を設置してからトライアルをスタートすると言われたので、すぐにむぎちゃんを迎える準備をした。

急遽トライアルがスタート

譲渡会から1週間経った4月4日、「今夜でよければむぎちゃんを連れていく」と連絡があった。

「こちらとしては早くむぎを迎えられる嬉しさはありましたが、正直急展開に驚きました(笑い)。 この日、他の猫2匹のお届け予定があったそうですが、1匹は具合が悪くなったので延期し、予定が少し空いたので我が家に声がかかったそうです」

むぎちゃんは、かつて別のトライアル先に行った時、先住猫と気が合わないと戻されたことがある。しかし、今回は2週間後に正式譲渡された。

「むぎちゃん」という名前は、またたび家にいた時につけてもらった名前。「可愛らしいむぎにぴったり」と夫と意見が一致して、そのまま「むぎちゃん」として可愛がっている。

じつは大物?

むぎちゃんは人懐っこい甘えん坊。気づくとむぎちゃん専用のフワフワタオルでフミフミしているという。

「どこへ行くにも何をするにも、もれなくついてきて見守ってくれています。 そして私たちの親や家の点検に来た作業員の方にもすぐすり寄っていきます。小柄だけど大物なんですよ(笑)」

遊ぶのも大好きで、猫じゃらしやネズミのおもちゃはもちろん、ゴムボールのような少しでも動くものがあると食いつき、元気いっぱいに飛び跳ねては走り回っている。

「初めはペットとして迎え入れましたが、私たちには子どもがいないので、今では我が子を授かったように毎日愛情を注いでいます」

優しさに癒される

むぎちゃんは、迎えた当初は声が枯れていた。星さんはしばらくの間、「こういう声の子なんだな」と思っていた。しかしある日から、ごはんが欲しいときに「ミャ~」と鳴くようになり、ひと月くらいするとすっかり可愛らしい声になったという。

「人懐っこい分さびしがり屋で、少し出掛けた時などには探し回って鳴き過ぎ、声が枯れてしまったのかもしれません。愛おしいのと同時に、申し訳ない気持ちになりました」

むぎちゃんは、星さんが落ち込んだ時やちょっとした夫婦喧嘩をしてしまった時、いつもそばに寄り添っていてくれる。

「優しい子です。お迎えしてからまだ数カ月ですが、いまだに怒っている姿を見たことがありません」

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