「インプラント周囲炎」が増えている 炎症への抵抗力が弱い人口歯、注意すべき6つの症状

ドクター備忘録

木村 正信 木村 正信

 あごの骨に人工の歯根を埋め込み、そこに人口の歯を装着する「インプラント治療」が注目されていますが、一方で増えつつある怖い病気が「インプラント周囲炎」です。せっかくつかんだフィット感はもちろん、人工歯を失うことになりかねません。しっかりとした対策を講じる必要があります。

インプラント周囲炎って?

 インプラント治療で新しい人工歯を手に入れた患者さんは、これで安心と思われるかもしれませんが、怖いのは一般の歯と同じように、歯周病などで再び、歯を失ってしまう危険性があることです。

 多いのが「インプラント周囲炎」です。「インプラントの歯周病」とも呼ばれ、インプラント周辺の組織が歯周病に感染した状態を指します。

 実は天然歯に比べて、インプラントの場合、炎症への抵抗力が低いのです。だから、細菌感染を起こすと骨吸収が急速に進行してしまいます。

 通常の歯周病と同じく、インプラント周囲炎は自覚症状があまりなく、気づいたときには重症化しているケースも少なくありません。

 一般的に歯茎の出血、腫れ、退縮などで気づく人が多いようです。膿が出ているようなら、かなり進行しているかもしれません。

 次のような症状があれば、要注意です。

1 インプラント部分がぐらつく
2 インプラント部分の歯茎が腫れている
3 膿が出る
4 歯茎が痩せた感じがする
5 歯茎の色が気になる
6 周辺のニオイが気になる、などです。

 インプラント周囲炎の原因菌は歯周病菌です。口腔内の手入れ不足、あるいは不衛生な状態によって起こります。ブラッシングしているつもりでも、うまく歯垢(プラーク)がとれていないなど、口腔内の状態の悪化で歯周病菌が増殖することによって引き起こされていると考えられます。

 そのため、ブラッシングだけでなく、定期的なメンテナンスによる口腔内の管理が重要になります。

 また、糖尿病だったり、喫煙者だったりすると、周囲炎の発症リスクが高まるともいわれています。

 怖いのは、インプラント周囲炎にかかった歯だけでなく、周辺の歯にも影響を及ぼすことです。予防法は定期的にメンテナンスを受けましょう!

 インプラント周囲炎になると、治療が必要になります。歯周ポケットの広さを測り、状態をチェックします。骨の状態により、インプラントの除去を行い、骨の再生療法を行うこともあります。

 インプラントを長持ちさせ、インプラント周囲炎を予防するには、定期検診を受けることをおすすめします。どんな病気も早期発見が大切です。最低でも年に数回は定期検診を受けるようにしてください。

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