営業は月3日のみ!売り切れ必至の“幻”のお肉屋さん プレミア感と自家飼育の上質な肉で人気

桑田 萌 桑田 萌

奈良県葛城市に、月に3日しかオープンしない精肉店がある。貴重な開店日にはいつも行列ができ、毎度お肉は完売。その店の名前は「うし匠 俵本」だ。

営業日の少なさから、「あの店は本当にやっているのか」と言われてしまうこともあるほど。どうして月3日しか店をオープンしていないのだろうか?

取材に応えてくれた代表取締役の俵本美和さんは「月に3日」という営業スタイルについて、「とにかく新鮮なお肉を届けたくて」と理由を話す。かつては毎日営業していたこともあったが、「スーパーなどと競合していた数年前には、お客さんが全く来ない日もあった」と明かす。

「どんどんお肉は古くなっていくし、廃棄も増える。当時の代表だった両親は、もうお店を閉めようと思った時期もあったそう」と俵本さん。「廃棄するくらいなら思い切って月に3日だけ店を開け、新鮮なお肉だけを提供するスタイルにしてみたんです」

俵本で売っているのは、鎌倉時代からの銘牛「大和牛」であるA5ランクの黒毛和牛、関西唯一の自家飼育による馬肉など、どの商品も極めて上質だ。そのおいしさの秘密は「徹底した自家飼育」。自社で多くの牛を繁殖させ、子牛から一貫して育てる。「外の手に頼ることなく、自社のみで愛情を注いで大切に育てます」

自家製のエサや環境づくりはもちろん、育てる期間にもこだわる。通常27〜28カ月のうちに出荷されることが多いが、俵本では30カ月以上育てるという。

「費用面から27〜28カ月で抑える農家が多いのですが、実はもう少し長く育てる方が、より多くの“サシ”が入り、上質な霜降り肉となるのです」と俵本さんは言う。

そんなこだわりから、俵本では独自で育てた「大和牛」を「美和牛(みわうし)」と名付けた。奈良県の大神(おおみわ)神社、俵本さんの父の名である「重美」、そして自身の名前「美和」にちなんでいるという。

ところでぶっちゃけた話、月に3日のみの営業で採算は取れるのか。

「取れていると思います」と微笑む俵本さん。「かつて毎日営業していたころに比べて、より上質なお肉をご提供できていますし、廃棄によって辛い思いをすることもありません。むしろ営業日が少ないため“レア感”が生まれ、より来たいと思われるお客様が増えました」

精肉店2代目の俵本さんは、かつては海外のツアーコンダクターをしていた経歴の持ち主。海外や都会など、積極的に外に繰り出す俵本さんは、田舎があまり好きではなかったという。しかし家業を手伝ううちに、奈良にしかない伝統の魅力に気づき、「ここで扱っている国産のお肉も、日本独自の文化の一つだ」と考えるように。飼育にも積極的に参加することで、「牛から命をいただいている」という意識を強く持つようにもなった。

そこで俵本さんが抱いた夢は、大好きなスペインでレストランを開くこと。

「美和牛や美和馬をスペインに持って行き、その上質な味わいを広めたい。日本と海外との架け橋になれればと思っています」

月に3日の精肉店から、世界へ―。明るい未来を見据える「うし匠 俵本」の次のオープンは6月4〜6日。奈良県プレミアムセレクトに認証された、貴重なお肉が販売される。

■うし匠 俵本 http://u-hyoumoto.com
奈良県葛城市南花内254-6
毎月第1金曜日~第1日曜日の3日間 10:00~18:30
(5月の連休、お盆、年末は5日間営業)

■次回オープン日は6月4日(金)〜6日(日)

■ネットショップ:https://www.ushisho.shop/

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース