人生最後の「猫」として迎え入れたうたちゃん おまんじゅうのような丸い顔、まあるい目にゾッコン

渡辺 陽 渡辺 陽

うたちゃん(5歳・メス)は、千葉県で保護された後、譲渡会に出た。東京都に住む大矢さんは、幼い頃から猫のいる生活をしてきたが、人生、最後にもう一度猫と暮らしたいと思い、保護猫を探した。なかなかピンとくる猫に出会えなかったが、うたちゃんを一目見て「この子だ!」と思った。

最後にもう一度猫と暮らしたい

猫のうたちゃんの背中にはハゲが2カ所ある。千葉県佐倉市で保護されたが、保護主が獣医師に診せると、虐待された痕かもしれないと言われたという。

東京都に住む山下さんは、幼少の頃から家に犬や猫のいる生活を送っていた。当時から柔らかくて、フニャっとした猫が好きだった。

野良猫を見つけると、子供だった山下さんは、「お腹が空いたら食べるんだよ」と、煮干しをハンカチに包んで首につけてあげたこともある。社会人になって独り暮らしを始めて、たまたま知り合いから里親を探している子猫がいるから飼ってみないかと勧めら、茶トラの女の子はなちゃんを飼い始めた。その後結婚して、はなちゃんが18歳になるまで一緒に暮らした。ただ、その時住んでいた住宅は、本当は動物が飼えない住まいだった。はなちゃんを見送ってからは猫を飼いたくても飼えなかった。

しかし、2019年に引っ越す時は、どうしても人生の最後にもう一度だけ猫と一緒に暮したいと強く思い、ペットの飼えるところを選んだ。

私にはこの子が一番

家族で猫を飼うと決めてから、ネットで探したり譲渡会を何箇所か回ったりした。なかなか決め手がなく迷っていたところ、2019年1月27日、4度目に川崎の譲渡会に行った時「この子だ!」と一目見てうたちゃんに決めた。「あとで考えると以前飼っていた子に雰囲気がとてもよく似ていたからだと思います。同じケージにうたとそっくりでもっと美人な猫がいたのですが、その子は里親希望者が何組かいらしたようです。でも、私には『うた』が一番でした」

うたちゃんは、おまんじゅうのような丸い顔にまあるい目、体つきもころんとして、日本猫体型のなんとも愛らしい子だった。

心の支えになってくれるうたちゃん

2月23日、うたちゃんが来た。保護主の都合で譲渡会からひと月近く経っていたので、家族みんなで待ち焦がれていた。保護主から、「人馴れはまだしていませんが、大人しくていい子ですよ」と聞いていた。慣れるまである程度時間がかかったが、威嚇したり、引っかいたりすることはほとんどなかった。うたちゃんはとにかく臆病で、控えめ。大人しくていい子だという。キッチンやダイニングテーブルには上がったこともなく、スティックのおやつを開けたままリビングに置きっぱなしにしていても自分から手を出したことがない。

「これといったいたずらをしたことがないので叱ったこともなく、もう少しお転婆でもいいのにと心配になるくらいです」

うたちゃんは、家に来てようやくケージから出始めた頃、子供がベランダの窓を開けた瞬間に部屋から飛び出し、隣のベランダに逃げてしまったことがある。大矢さんは、子供と一緒に同じ階の部屋をひとつずつ回ってベランダを見せてもらい。結局階の一番端の部屋のベランダに身を潜めているのを見つけた。
「なんとか捕獲することができました。あの時はもう本当に血の気が引く思いで、普段は反抗的な娘もさすがに責任を感じたのか、私の指示に従ってしっかり動いてくれました」

うたちゃんを迎えて家族の会話が増え、仕事が終わると少しでも早く家に帰りたいと思うようになった。一緒にいる時間が何よりの癒やしで、精神的に助けられているという。

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