お転婆過ぎて里親が決まらなかった子猫 いまでは美猫に成長、家族を明るくしてくれるムードメーカーに

渡辺 陽 渡辺 陽

神前もんじろうちゃん(2歳・メス)は、生後間もない乳飲み子の時、ボランティアが保健所から引き出した。女の子だがとんでもない荒くれ者で、真偽のほどは分からないが、フードの袋を破ったり、皿を20枚割ったという伝説の持ち主だった過ぎて里親が決まらなかった。

お転婆過ぎて里親が決まらず

岡山県で自治体から猫を引き出し、里親探しをしている猫の保健室は、生後4日くらいの5匹兄弟を倉敷保健所から引き出した。1匹は身体が小さく、搬送中に亡くなった。残る4匹は、まだ目も開いていない頃からボランティアが育てた。

当時、神奈川県に住む神前さんはてんてんちゃんという若い猫を迎えたが、2匹の先住猫はシニアだったので、エネルギーを持て余しているようで、時折ぼーっとしていた。神前さんは、遊び盛りのてんてんちゃんの妹分を迎えしようと考えた。

てんてんちゃんを育てたボランティアから「かまってちゃん、いたずらっ子過ぎて、なかなか譲渡先が決まらない厄介者」という子猫の話を聞いたので打診してみると、猫に慣れている人なら問題ない、てんてんちゃんならこのかまってちゃんとも渡り合える!という返事をもらった。保健所から引き出された5匹兄弟のうちの1匹だった。神前さんが飼っていた猫は皆猫エイズキャリアだったが、この子もエイズキャリアだった。

活発で男勝りだから「もんじろう」

とにかくいたずら好きで、支援物資のごはん袋を破き、皿を20枚以上割ったレジェンド扱いされている問題児。神前さんはどんな子だろうと構えていた。

子猫を迎えに行くと、持って行った支援物資にじゃれつき、譲渡に必要な書類を破こうと机の下から邪魔をしてきた。神前さんは、「元気すぎる!」と驚いた。

岡山から広島へ車で移動し、広島から飛行機で神奈川に来たが、家に着くと一時間以内にトイレとごはんを済ませた。その適応力には唖然としたという。初日にてんてんちゃんと対面するとお互いシャーっと威嚇したが、2日目には仲良くおもちゃで遊び、いつも一緒にいるようになった。その姿はまるで夫婦のようだった。気難しい性格の先住猫ききちゃんは、珍しく興味を持って仲良くした。最長老のじじちゃんは、孫が増えた!と言わんばかりに喜んですり寄って、一緒に寝てくれたという。

子猫は女の子だったが、亡くなった先輩猫の「もこ」「ろん」から1文字ずつ取って「もん」、活発で男勝りなので「もんじろう」という名前にした。

明るく優しい“お笑い芸猫”

かなりのワルと聞いていたが、もんじろうちゃんは他の猫がご飯を食べていても取らずに座って待ち、どの猫とも仲良くでき、体調が悪い人や猫がいる時は寄り添ってくれる優しい猫だった。

とてもおしゃべりで、話しかけると機嫌が良くなり色々な声色でたくさん返事をしてくれる。変わった動きで飛んだりたくさん変顔をするため「お笑い芸人」とも呼ばれている。「てんてんはFIPで亡くなったのですが、亡くなる前には、ずっと一緒にいてくれました。てんてんの毛で作ったボールを、一番のお気に入りのおもちゃにしています」

もんじろうちゃんは神前さんのところに来てから、短い間にききちゃんとてんてんちゃんを看取ったが、2度の葬儀の時、ずっとその場で一緒にいてくれて、何か理解しているような感じだった。

2匹が死んだ後、少し落ち込む時期があったが、後にやってきたせんべーとは、ボランティア宅で1年一緒に育ったのですぐに意気投合、今では毎日追いかけっことイチャイチャを繰り返しているという。「本当に愉快な子で、毎日たくさんの笑いを提供してくれます。2020年は立て続けに猫が亡くなり悲しい年でしたが、空気を明るくしてくれるもんじろうのおかげで乗り切ることができました」

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