マロンちゃん(2歳・メス)は、岐阜県に住む大矢さんの家の敷地に現れた。大矢さんは幼い頃に猫に飛びつかれたことがあり、それ以来、猫が怖くなった。動画を見ているだけなら可愛いと思えたが、飼う気にはなれなかった。
飼う気にはなれない
2020年5月8日、岐阜県に住む大矢さんが同じ敷地内で同居しているおばあちゃん家の縁側に、突然猫が現れた。
おばあちゃんは、猫がジーッと見つめていたので、あまりの可愛さに家の中に入れた。猫はウロウロと興味深げに歩いていたが、飼うことはできないので、すぐに外に出したという。
大矢さんの子供がおばあちゃんから話を聞いて外に出たら、すぐに猫が近寄ってきたらしく、大矢さんに子供から動画が送られてきた。「私は小さい頃、猫に飛びつかれたことがあるので、猫が苦手で怖かったのです。見るだけなら可愛いと思ったのですが、飼おうとはまったく思いませんでした。猫のことはよく分からなかったので、とりあえず家にあったカステラや食パンやご飯をあげていました」
猫が消えた!?
猫は毎日毎日、大矢さんが外に出ると寄ってきた。大矢さんも猫の姿が見えないと気になるようになった。3日後くらいに、ドアを開けても姿が見えなかったので家族みんなが心配した。家の近くを探しても見つからず、「どこかに行ってしまったんだなあ」と悲しい気持ちになった。ところが、3時間後に玄関のドアを開けたら、猫が戻ってきていた。「もう嬉しくて・・・夫が抱き上げたのですが、猫が苦手だった私も嬉しくてたまりませんでした」
12日、病院で検査をしてもらうために電話をしたら、「洗濯ネットに入れて連れて来て下さい」と言われたので猫を捕まえようとしたが、猫は鋭く察知して逃げ回った。なんとか捕まえて病院で検査をしてもらうと、少し貧血で栄養失調になっている、生後9カ月から1歳くらいだと獣医師は言った。
8日から12日まで曇りや雨で肌寒い日が続いたので、玄関先の雨のかからないところに段ボールと毛布を用意すると、眠い時はそこで寝ていた。
大矢さんは、あまりにも人懐っこいので、このままだとかわいそうだと思った。家族全員猫がいないと寂しいと思うようになっていたので、動物を飼うのは絶対に無理だと決めていたが、飼う決心をしたという。
買い物に行っても心配
名前は子供が考えた。丸っこい感じの名前にしたかったので「マロンちゃん」になったという。
家の中に入れると、マロンちゃんは真っ先に狭い場所に隠れた。キャットフードを置いたら出てきたが、凄い勢いで噛まずに飲み込んで食べ、隠れた。だんだん近くに寄ってくるようになり、いちばん猫が苦手な大矢さんにスリスリしたり、甘噛みしたりして、時には舐めてくることもあった。大矢さんは、マロンちゃんに夢中になった。
マロンちゃんはものすごく臆病だが、いろんなことに好奇心旺盛。あまりベッタリとしないあっさりとした性格だという。「膝の上に乗るのは大好きなのに抱っこは大嫌いで、抱っこしようとすると逃げてしまうので寂しいです」
大矢さんは、マロンちゃんが来てから笑顔が増えたという。「でも、留守番させている時は心配で、心配で。1室をマロン部屋にしてあるのでそこに居させるのですが、それでも大丈夫かなあと気になるんです。マロンが寂しい思いをしないようになるべく一緒にいたいと思うので、家にいることが多くなりました」