「今まで母を『母親』としてしか見てなかった」…2児のママが描く漫画が話題 一読した母の言葉が、深い

広畑 千春 広畑 千春

 4月。住み慣れた実家を離れ、一人暮らしを始める人も多いのでは。でも、そこにはいつも起こしてくれて、ご飯を作ってくれて、洗濯物をして元通りに直して、何なら掃除もしてくれる人もいません。ましてや、自分に子どもが生まれて「親」になったら…。

お母さんって、もっと「お母さん」だと思ってた…

 「成人した日、20歳ってもっと大人だと思ってた」

 「社会人になったときも、社会人ってもっとしっかりしてると思ってた」

 という書き出しで始まる漫画をツイッターに投稿したのは、2歳と1歳の子どもを育てる鳥谷丁子(@TanikoNikki)さん。漫画は多くの共感を集め、「家事と育児はボランティアですか?」と切り込むエッセイ漫画「主婦の給料、5億円ほしー!!!」(KADOKAWA)にも収録されています。

 

 子どもが生まれ「母親」になった今も「お母さんってもっと『お母さん』だと思ってた」と毎日痛感しているという鳥谷さん。「朝起きたくない」とか子どものままの自分がいて、でも少しずつ「起きたくないけど、起きるよ…」という“大人な自分”がポツリポツリ生まれてくる…とつづります。

 そんな状況になって思い返すと、自らの母のことを「正直、一人の人間としてじゃなくて『母親』という生き物として見ていた」と鳥谷さん。母は専業主婦で、鳥谷さん曰く「360度どこから見ても完璧な母親」。毎日同じ時間に3食を用意してくれ、お風呂を作ってくれ、洗濯した服を元通りに直してくれ、気持ちを聞いてくれたそう。でも、自分が「母親」という立場になって初めて、それが「当たり前」ではないことに気付いたといいます。

「お母さんに一度なったら辞められないけれど、いつまでも楽しいよ」

-なぜこの漫画を描こうと?

「子どもが生まれて初めて『お母さん』をする裏側でこんな闘いがあったのか!と驚きました。その時改めて、自分が母親になるまでは世の母親を『お母さん』という役割でしか見ていなかったんだな…と気付いたんです」

-お母さまは、子どもに理不尽なことを言われても、怒ったり泣いたりされることはなかった?

「はい。『えー!?まだご飯できてないの?』『番組録画しておいてって言ったじゃん』とか、今思うと『お前がやらんかい!』と後ろから跳び蹴りを食らわせたくなることを言ってきましたが、母には泣かれたことも怒られたことも一度もありませんでした。もちろん『自分でやりなさい』と言われることもありましたが、感情的ではなく、あくまで冷静でした」

-すごい…。

「自分の感情で子どもを怒らないって、他人事として聞いていたときは『当たり前じゃん、そんなの』と思ってましたが、いざやってみると本当に大変で、母には本当に尊敬しかないです…」

 ちなみに、この漫画を含む単行本「主婦の給料~」を読んだ鳥谷さんの母は、「お母さんに一度なったら辞められなくて、大変なことや心配事は尽きないけど、いつまでも楽しいよ」と言ってくれ、「マミーも5億円くらいもらいたいわね」と笑っていたそうです。

 母親だって、一人の人間。当たり前のことだけど「子ども」でいられる間はつい忘れてしまいがち。でも、母親も、もちろん父親も「親になったら大変だけど、いつまでも楽しいよ」と思えたら…。鳥谷さんは「お話の最後の方にも少し描きましたが、読んでくださった方が、恩返しできなくなってしまう前に『お母さん』について考える機会になれたら、うれしいです」と話してくれました。

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