勝手口に現れた1匹の子猫、里親に出すつもりだったが「もう手放せない。我が子だよ」温かな家庭でスクスク育つ

渡辺 陽 渡辺 陽

にゃんにゃんちゃん(生後10か月・メス)は、4匹の保護猫を飼っている太田さん宅に現れた。野良猫の子猫のようだったが、母猫や兄弟の姿は見当たらなかった。太田さんは、いくら猫が好きでも、さすがに5匹飼うのは躊躇した。しかし、なかなか里親が決まらなかった。

 

勝手口にやってきた猫

2020年5月末、静岡県に住む太田さんは、数日前から家の周囲で子猫の鳴き声がしていることに気がついていた。しかし、どこにいるのかさっぱり分からず、外に出ては探していた。あきらめかけた夜遅く、1匹の子猫が勝手口付近にやってきた。生後1か月半になるかならないかくらいの子猫だった。

「勝手口の窓の外でミャーミャー鳴くので、我が家のネコ達も近づいてきて、私と娘は慌てて外に出て行きました」

 

水とウェットフードを持って、ゆっくり静かに近づき、皿を置くと凄い勢いでミャウミャウ言いながらバクバク食べ出した。だいぶお腹が空いているようだった。近づこうとすると逃げてしまったので、その夜はどうにも保護できなかった。太田さんは、またお腹が空いたら来るだろうと、とりあえず朝まで待つことにした。

捕獲決行、失敗はあり得ない

案の定、翌朝も近くから鳴き声が聞こえるので探してみたら、エコキュートのカバーの中に隠れていた。

「きっとそこで何日か隠れていたのだと思います。だから、鳴き声は聞こえるけど、見つけられなかったのでしょう」

太田さんは、朝晩ごはんをエコキュートのそばに置き続けた。約1週間様子を見て、母猫が現れる様子もないので保護することにした。子猫は、だんだん近づいても逃げなくなってきた。

6月5日、太田さんと娘は、絶対に失敗しないよう、準備を整えて子猫を捕獲した。娘が猫じゃらしを使って庭に誘い出し、遊んでいるすきに子猫をつかんでキャリーバッグに入れて保護したという。すぐにシャンプーしたが、子猫は鳴き声ひとつあげず大人しくしていた。先住猫たちとは隔離し、翌日病院に連れて行った。

もう手放す気になれない

太田さんは猫を4匹飼っていたので、インスタグラムで里親を募集した。知人にも声をかけたが、希望者がなかなか見つからず、夫の会社の人が写真を見てみたいと言ったが、「もっと小さな猫がいい」と断られた。

8月、すっかり懐いた子猫が可愛らしく、太田さんと娘は手放したくなくなってきた。ずっと里親に出すつもりで名前もつけず、にゃんにゃんと呼んでいたが、名前を変えられず、「もうにゃんにゃんでいいね!」ということになり、名前はそのままにしている。

「主人や息子が反対していたのですがそのままズルズル今に至ります。内心は主人や息子ももう我が子だと思っていると思います」

末っ子のにゃんにゃんちゃんは、何にも動じず、元気満々。思うがまま暮らしている。先住猫のマルちゃんのことは怖いようで、なかなか距離が縮まることがない。他の3匹とはうまくやっている。遊んだり一緒に寝たり、4匹が一緒の空間にいることが多い。

少し肝臓の数値が悪いが、獣医師に相談して無事避妊手術を済ませることができた。抜糸も終わり元気になってきたにゃんにゃんちゃん。太田家の家族として、温かく見守られながら過ごしている。

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