ちょうどいい温度の位置を見つけて陣取ってるらしい… スパコンの熱交換器で暖をとる猫が話題に

中将 タカノリ 中将 タカノリ

「40度ぐらいのちょうどいい温度の位置を見つけて陣取ってるらしい…」

スーパーコンピューターの熱交換器で暖をとる猫をサーモグラフィで見た画像がSNS上で大きな注目を集めている。この画像を紹介したのは大学院生のYuta Suzukiさん(@resnant)。

SNSユーザー達からは

「うちのにゃんこもファンヒーターの上の暖かい左寄りにしか乗らないので猫はやっぱり分かってるんでしょうね」

「このネコIntel入ってる~!」

「ネコの鼻は0.5℃差を認識できるくらい高性能の温度センサーだから…」

など数々のコメントが寄せられている。

今回のご投稿についてSuzukiさんにお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):スーパーコンピューターの熱交換器の上とはなかなかレアな場所ですが、この写真はどちらで撮影されたものなのでしょうか?

Suzuki:私は物理を研究している大学院生で、例の写真を撮影したのは、私が所属している高エネルギー加速器研究機構(KEK)という研究所のつくばキャンパス内、スーパーコンピューター等が設置されている計算機棟の裏手です。KEKは広さ、人数共に日本で最大規模の物理の研究所です。大型の電子加速器を使って電子を光の速さ近くまで加速し、その電子ビームから取り出したX線を使って物質の構造を詳しく調べたり、加速した電子同士をぶつけて壊しその破片(素粒子)を調べることで、この世界の仕組みについて研究しています。猫が暖を取っていたスパコンでは、これらの研究に関する様々なシミュレーションや分析が行われています。

中将:そんなに本格的な研究機関の光景だったんですね!しかし猫ちゃんはなんでそんな場所にいたのでしょうか?

Suzuki:KEKつくばキャンパスの約1.5平方km以上の広い敷地には、10年以上前から数匹の地域猫がいついており、ネコ好きな職員が餌やりや病院につれていくなどして世話しています。はじめは、ケーブルをかじるなどして実験の邪魔になるネズミを駆除してくれることから猫を世話するようになったという噂を聞いたことがあります。

この三毛猫は多数の職員から親しまれており、それぞれが名前をつけているので決まった名前はありませんが、私はミケと呼んでいます。年は14歳ぐらいだと聞いています。ミケは計算機棟あたりを縄張りとしていて、冬場はスパコンの熱交換器の温かい場所で、夏場はひんやりとしたコンクリートの上でのんびりと過ごしています。隠れていることもありますが呼ぶと出てきます。とても賢い猫だと思います。

ちなみに、ミケはかつてKEKに住み着き「しろ」あるいは「ネコ先生」という名前で親しまれていた白猫の娘です。しろやミケを始めとして、KEKにいる猫は研究者の癒やしとしてだけでなく、マスコットとしても活躍しています。

中将:今回のご投稿は大きく拡散されましたが、ミケちゃんがそもそもバズるだけのアイドル性を持っていたわけですね!反響への感想をお聞かせください。

何気ない日常の風景の写真をアップしただけのつもりでしたが、大きく拡散され驚きました。このぐらい注目される研究成果を挙げたく、より一層努力してまいります。

   ◇   ◇

「KEKネコ」たちは機関の広報資料に登場したり、ホームページ上のエッセイコーナーでも取り上げられるなど関係者に深く愛されているようだ。またKEKでは年に一度、普段は関係者以外立ち入れない施設内を一般公開するイベントを開催しており、数千人のファンが訪れるほど盛況になるとのこと。今回ご紹介したミケたちにも会えるかもしれないので、ご興味のある方はぜひ今後のKEKやSuzukiさんの発信をチェックしていただきたい。

▽『高エネルギー加速器研究機構(KEK)』関連情報

公式サイト:https://www.kek.jp/ja/
「KEKネコ」グッズ通販サイト:https://www2.kek.jp/imss/library/index.html#goods

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