猫が苦手な夫を「ちゅーる係」に 決行は9月6日!外猫クロちゃん保護のビッグプロジェクトの行方は…

ふじかわ 陽子 ふじかわ 陽子

大阪府に住む黒猫のクロちゃんは、フカフカの場所が大好きな女の子。Aさん夫妻のベッドやソファーは、いつの間にかクロちゃんの場所になっています。初めからAさん夫婦の家の子という表情でくつろぐクロちゃんですが、元々は野良猫です。それも、推定3歳になってからAさん夫妻の元に来ました。

最初にクロちゃんがAさん宅へやって来たのは、約2年前。避妊済みを表す耳カットがされている猫でした。たまにふらりとやって来ては、庭の砂場でごろんごろん。その砂場の小石で遊ぶこともあったそう。

この時のことをAさんの妻はこう言います。

「おそらく本宅があったはずです。うちはセカンド。おやつを食べに来ていたのでしょう」

それが半年も経たないうちに、セカンドからメインに昇格。ほぼ毎日、クロちゃんは姿を見せるようになりました。こうなると、ご近所の目が気になり始めます。うちの子じゃないのに、うちの子のようになっているのですから。

でも、それ以上に気になるのはAさんの夫のアレルギーです。営業先で猫がいると、帰宅後もアレルギー症状が治まらないほどの猫アレルギー。それもあって、Aさんの夫は猫が怖い。

猫への恐怖を克服してもらうために、Aさんの妻が取った行動は大胆でした。夫をちゅーる係に任命したのです。当初夫は、「なんで俺が……」と不満げでしたが、効果てきめん。ちゅーるを美味しそうに食べるクロちゃんの姿に恐怖心は薄らぎ、いつしか猫大好きに。アレルギー症状もほとんど出なくなっていました。

クロちゃんへも妻は仕掛けます。今まで庭でご飯を食べてもらっていたのを、徐々にご飯皿を家に近づけました。クロちゃんが縁側でくつろげるようになったころには、夫の気持ちもクロちゃん保護へと向いていたのだそう。

夫婦で話し合い、クロちゃんを迎えるにあたり一部屋を空けることに。その部屋には夫婦で集めた書籍がギッシリ詰まっていたのですが、それを全部売り払いました。空になった部屋に、今度はキャットタワーやパネルヒーターを設置。準備万端でクロちゃん保護に臨みます。

決行の日は2020年9月6日。この日は台風が大阪を直撃する予報だったため、この日を逃したらクロちゃんが怪我をしたり風邪をひいたりするかも知れません。大捕り物を覚悟していたAさん夫妻ですが、天気の悪さが幸いしたのかあっさりクロちゃんは家の中に。

用意された猫部屋に迎えられたクロちゃんですが、夜鳴き続き。根負けした夫婦は、寝室にクロちゃんを入れることにしました。するとピタリと夜鳴きはなくなりました。せっかくAさんの家の子になったのに、夜だけ別なのは寂しかったのかもしれません。

今では夫の布団の上の端っこが、クロちゃんの定位置です。遠慮をしているというより、落ちるか落ちないかというギリギリを楽しんでいるように見えると、夫妻は語ります。

こんな遊びを見つけるのが上手なクロちゃん。せっかく用意したキャットタワーには見向きもしません。タンスに挑んだり、高い場所にある窓からお外を眺めたり。おもちゃよりも段ボールをかじるほうが楽しいみたい。小石で遊んでいたのも、クロちゃんのお気に入りだったのでしょう。

実はAさん夫妻も、自分なりの楽しみを見つけるのが大好きなタイプ。読書だけでなく観劇も、古跡を訪ねることも大好き。用意されたものを享受するのでなく、積極的に自分たちの「好き」を探していきます。

「クロは今、自分なりの好きをどんどん見つけている最中かな。それを眺めていると、とても楽しいです」

元野良猫のクロちゃんは、自分の「好き」を認めてくれる人間と出会えたようです。

クロちゃんが保護され9月6日は、奇しくも「クロの日」。その日に好きなものが多い夫婦に保護されたのですから、合縁奇縁とはこのことでしょう。

クロちゃんがこれからどんな「好き」を見つけるのか、それが今から楽しみです。

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