「僕のイカスミ専用ガラスペンも見て♪ (まだ試作中...)」という言葉とともに投稿された、手のひらサイズの小さくて精巧なイカのガラスペンの写真が、SNSで大注目されています。
こちらは2月17日に投稿され、瞬く間に2月19日現在、13.2万件の「いいね」がつきました。
制作およびツイートしたのは、生物系ガラス作家の増永元 Glass Artist(@masunaga_gen)さん。透明感あふれる神秘的なガラスの肢体は、同時にイカという生物の持つリアルな生々しさをも見事に表現しています。ツイートには「クォリティ高い」「本物みたい」「欲しい」という声が寄せられています。増永さんに、作品制作について聞きました。
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――制作の着想はどこから得られましたか。
泳いでいるイカを見ていたら、綺麗にまとまった足の形がガラスペンそっくりだと思ったんです。イカと言えばイカスミ、昔のセピアインクですから、これはもうガラスペンだと(笑)。
――イカのフォルムや透明感、雰囲気を出すために、制作の過程で特にこだわったことを教えてください。
イカの生きている状態の色味と質感にこだわって、数色のガラスの粉をまぶして色素胞を再現しました。胴部分は中に乳白色のガラスを入れて表面の色素胞が目立つように工夫しています。あとはガラスの粉の種類を選んで表面の艶を落ち着かせることで更にそれっぽい質感にしたり…それっぽい雰囲気を出すためにかなり色々試しました(まだまだ試している途中ですが…)。
――ツイートに大反響がありました、ぜひ感想をお聞かせください。また、商品化はむつかしいのでしょうか…?
こんな反響は完全に予想外だったのでめちゃくちゃ驚いています。皆さん、イカ大好きだったんですね。僕はガラスペン専門の作家ではないので、筆記具として販売するような品質のものは作れませんが、とりあえず第一号の完成を目指して頑張りますっ。
――命の美しさだけでなく、不思議さや怖さをもとらえて(うつして)それらすべてが作品に結実している、と感じます。生物のどういうところに魅力を感じますか?
そう感じてもらえたなら大変嬉しいです!生き物の魅力ですか…。長い進化の歴史の中で出来上がったフォルムの美しさはもちろんですが、個体は死に種は滅びる、という生物の儚さにも魅力を強く感じています。
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これまでも個性的で美しく、どこか儚さをも秘めたおとぎ話のような世界をつくり続けてきた増永さん。今後はどんな作品づくりを?と質問すると「僕はこれまでもこれからも『半永久的に色や形が変わらないガラス素材に今存在する生き物たちの姿を記録して遠い未来に伝える』というコンセプトが創作活動の主軸です。今後も様々な身近な生き物たちをガラスで表現したいです」と答えてくれました。これからも増永さんにしかつくれないオリジナルの世界観で見るものを魅了して欲しいですね。