ほのぼのタッチでありながら、妄想のレベルが常人の域を超えている4ページマンガが話題です。「こんな1日を過ごしたい」と題し、マンガ家のむぴー(@mupyyyyy)さんがツイッターに投稿したもので、通りがかりのシェフ(ジャムおじさん似)が朝食バイキングを用意してくれ、隣に越してきた星野源さんとドラマ『MIU404』のDVDを堪能し、家族で公園に行くと砂場で金塊を発見するという「んなことあっかい!」の突っ込み必至の展開に、いいね!は10万超。リアリティーゼロの果てにあるオチとは―。見える、見えるぞ、真の幸福が。
5歳と3歳を育てながら育児マンガの創作に取り組むむぴーさんのほんわか妄想漫画。最高の目覚め(寝癖が付いていない、疲れが抜けている)で朝を迎えるむぴーさん。子どもたちの食事、着替え、歯磨きはすべて終わっていて、見知らぬシェフが朝食バイキングをセッティング済みです。
さらに「引っ越しにごあいさつに」とやってきたのは星野源さん。「一緒にDVD見ませんか」と夢のようなお誘いがかかります。
3ページには公園の砂場のシーンがあります。恐竜の化石を発掘したかと思えば、金塊も。そして温泉も掘り当ててしまいます。
妄想が止まりません。拾った財布の持ち主は、米EVメーカー「テスラ」の最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏。「お礼に保有株の10%をお譲りします」って…ざっくり計算すると1兆円以上です!怒濤(どとう)の妄想はどこから。むぴーさんに聞きました。
―スケールがはんぱない妄想にネットユーザーが大喜びです。
「現実逃避で描きました。絶対無理でしょとか先のことは考えず、目先のことだけ自分勝手に考えて欲望を詰め込んでできたのがこのマンガです」
―妄想の源泉は。
「子供の頃から想像するのが好きだったんですが、そのまま大人になったと思います。『もし今重力が逆になって天井が床になったら』とか『もしサンタさんのそりに乗れたら』『もし親になんでも好きなもの買っていいよって言われたら』」とか考えていたので、その延長線上だと思います」
―最後のシーンに真実を込めたのでしょうか。
「本当に何も考えずに描いたのですが、そう考えるとなんだか深いマンガに見えますね。実際、このコロナ禍で自分や周りの人が健康であることのありがたみをよく感じますし、無意識にそういうメッセージを込めた…ということにします。でも、このマンガを見た夫からは『なんや暇なんか』と鼻で笑われました」
-子育て世代と思われるユーザーに届いていることがコメントからうかがえました。
「私の欲望まみれの妄想に共感してくださる方がたくさんいて本当にうれしいです。この1年は本当に大変な時期が続き、疲れてストレスもたまっている方が多いと思うので、そんな皆さんにこんな1日がいつか起きればいいのにと思います。私はまずニンテンドースイッチを買うところから始めます」
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「普段は育児マンガなどを描いていますので、そちらも読んでいただけるとうれしいです」とむぴーさん。書籍化された作品には、現実逃避イラストや育児絵日記をまとめた「子供ができて知ったこと」(扶桑社)、出産直後のリアルな母親の気持ちをつづった「母がはじまった」(PHP研究所)があります。またウーマンエキサイトで「あさひが丘の人々」、現代ビジネスで「むぴーの絵日記出張版」を連載中です。
むぴーさんのブログ→https://mupyyy.com/