「今の状況は？私たちがすべきことは？」新型コロナの疑問、豊田真由子がお答えします

　本年は、季節性インフルエンザの感染者は、例年に比べ激減していますが、マスク手洗い等の感染防止策を取っていても、新型コロナウイルス感染症の感染者は増えています。これはなぜかということについては、複数の説があります。

・新型コロナウイルスの感染力が、季節性インフルエンザウイルスよりも強い（可能性がある）。

・「ウイルス干渉」（1つのウイルスに感染すると、他のウイルスには感染しづらくなるという現象で、細胞レベル、個体レベル、集団レベルのそれぞれで起こる。）により、新型コロナウイルス感染症が増えたことで、季節性インフルエンザに感染症が減った。

など。

　これはメディアでもよく聞かれる発言ですが、物事を片方から見ていないところに問題があると思います。感染した人が軽症・無症状であれば、その意味では、本人にとってあまり問題はないと言えるのかもしれませんが（無症状でも後遺症が出るといったケースもありますが…）、一方で、軽症・無症状であっても、その人から、高齢者や基礎疾患のある方に感染し、重症化や死亡につながってしまうことがあります。自らが感染しないようにするとともに、誰かに感染させないようにする、その思いが、有用な行動変容をもたらすものと思います。

　そして留意点は、重症者リスクの高い「高齢者」や「基礎疾患のある人」は、決して医療機関や介護施設にだけいらっしゃるのではないということです。「自分は高齢者と同居していないから、感染させるおそれはない」ではないのです。65歳以上の方々が、今の日本社会で、どれだけ活躍しておられるか、ご存知でしょうか？農林水産業、町内会や公民館などの地域活動、民生委員・児童委員・保護司・シルバーさん等の福祉活動、会社や商店街等々、地域を社会を支えている高齢者の方は、本当にたくさんいらっしゃるのです。高齢者の活躍無しに、今の日本の国は回っていません。

　だから「若い人は、どんどん動いていい。重症化するリスクがある高齢者は家に籠っていて。」という発想は、現実を踏まえていないナンセンスなものであり、高齢者を傷つけ、社会を分断するおそれすらあるのではないかと、私は思うのです。地域を支えていたあの方この方のお顔を思い浮かべながら…。

　がんばりましょう。