「のり弁」はなぜ白身魚フライなのか ほっかほっか亭に聞く誕生秘話、オープン当初は別のおかずだった

金井 かおる 金井 かおる

 「のり弁当」と聞いて思い浮かべるイメージは、ご飯の上の大きなノリと白身魚フライ。どちらもなくてはならない存在です。しかしなぜ白身魚フライなのか。調べてみると、現在のスタイルを作ったのは持ち帰り弁当チェーン「ほっかほっか亭」でした。同チェーンを展開するハークスレイ(大阪市北区)に話を聞きました。

誕生当初はフライじゃなかった

 ――ほっかほっか亭にのり弁当が誕生したのはいつですか。

 「ほっかほっか亭は1976(昭和51)年6月、埼玉県草加市に第1号店がオープンしました。のり弁当は創業当時から存在しております。お母さんが家族のために作っていたようなお弁当を商品化したのが始まりです」

 ――当時からおかずは白身魚フライですか。

 「創業時、のり弁当のおかずは白身フライではなく、ホキのみそ漬けを焼いたものでした。焼き魚がのったのり弁当を2年ほど販売し、白身フライの登場により今日のスタイルが完成しました」

 ――なぜ白身魚フライだったのでしょう。

 「ちょうど日本の冷凍文化や食文化の発達とともに、より調理時間が短く、高品質である白身フライにたどり着きました」

 ――白身魚フライ以外、必ず入れないといけない食材はありますか。

 「ルールはないと思いますが、人々が思い描くのは、おかかご飯にノリ、その上に白身フライとちくわ天なのではないでしょうか。それくらい日本の食文化に根付いたメニューだと思います」

原型は「のりおかか弁当」

 お弁当の歴史も教えてもらいました。

・昭和20年代…麦飯から銀シャリと呼ばれるご飯に
・昭和30年代…日の丸弁当(ご飯+梅干し)
・昭和30年代後半…のりおかか弁当(ご飯+かつお節+ノリ)
・昭和40年代半ば…シャケ弁当(ご飯+焼きシャケ)

 のりおかか弁当は当時、多くの家庭で保存食として常備されていたかつお節をご飯の上に敷き、醤油をかけノリをのせたもの。のり弁当の原型とも言われています。昭和50年以降は、唐揚げ弁当やハンバーグ弁当、かきあげ弁当など、おかずのバリエーションが広がりましたが、「のり弁当の人気度は、その他の強いメニューにも負けず、常にベスト3に入っています」(担当者)。

ガッツリ派向けのり弁も登場

 同チェーンののり弁当は11月1日、リニューアルを行いました。「白身フライを15%大きくし、添付ソースをマヨしょうゆに変更しました。超人気で定番ののり弁当とはいえ、常により良いものを追求し、改良を重ねています」(担当者)。税込み360円(九州地方は340円)。

 また同月には、人気の定番おかずがふんだんに入った「スペシャルシリーズ」も登場。「のりスペシャル」は、のり弁当プラス、唐揚げ、コロッケ、ウインナー、厚焼たまご、ハーフスパ、サラダというボリューム満点の内容。「ガッツリ食べたい方に大変好評で、ファンの皆様に愛されている商品です」(担当者)。税込み640円。

 同社グループ会社で仕出し料理やケータリング弁当などを手掛ける「SUISEN(スイセン)」でも「無限のり弁当シリーズ」を展開。ラインナップは「無限のり弁プレミアム 銀鱈の西京焼き」「無限のり弁 白身フライ」「無限のり弁 鶏の香味焼き」。

 「のり弁当は今も昔も、地域の皆様に愛されるメニューです。のり弁当のスタイルは皆が思い描くものをベースとしながらも、いろいろな派生商品を楽しんでいただくものでは、と思っております」(担当者)

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