地域猫にしようと思ったサビ猫 すっかり家に居座り、いつの間にか我が子に

渡辺 陽 渡辺 陽

突然家の庭に現れたサビ柄の猫。大阪府に住む嶋田さんは、既に4匹の猫を飼っていたので、これ以上飼うことはできない、TNR(T=TRAP「つかまえる」N=NEUTER「不妊手術する」R=RETURN「元の場所に戻す」)しようと思っていた。なんとか捕獲して不妊手術はしたものの、術後、そのままサビ猫は嶋田さん宅に居座ってしまった。

 

突然庭に現れた猫

2018年10月下旬、自宅の庭に1匹の猫が現れた。メスのサビ柄猫だった。嶋田さんは猫好きで、4匹の保護猫と暮らしていたが、サビ柄は汚そうな柄と思っていた。ただ、その猫は目がクリクリしていて、とても可愛い猫だった。

ほぼ毎日ごはんを食べに来るようになり、嶋田さんは家猫にしてもいいと思っていたが、家族が、これ以上猫が増えることに難色を示したのでTNRしようと思っていた。 

12月、意を決して捕獲器を設置。怖い思いをさせてはいけないと思った嶋田さんは、現場に張り付いていた。しかし、いつまで経っても猫は現れず、「不発かな」と思い、そのまま就寝したという。朝になって夫が玄関を開けたら、捕獲器に入っていた。捕獲機の側には、どうしていいのかわからないといった様子の白黒の猫がいた。

触れないが、可愛い我が子

白黒の猫も耳カットをしていない野良猫だった。あいにく捕獲器は1つしかなかったので、サビ柄の猫を友人から借りたケージにいったん移し、もう一度捕獲器を設置した。5分もかからないうちにオスの白黒猫も捕獲機に入った。サビ柄は、ケージから出そうとしても激しく抵抗したので、そのまましばらく家で過ごさせた。白黒の猫もTNRしたという。

サビ猫の名前はメイヤちゃんにした。人間にはなかなか慣れず大変だったが、猫のことは大好き。なかでもアメリカンショートヘアのレオンくんのことが大好きで、レオンくんがケージのそばに来ると大喜びした。12月下旬から盛りのような声を出して鳴くようになり、1月に入ってから不妊手術をした。

獣医師からは、若い猫だが出産経験があると聞いた。

「小さなメイヤに子供がいると知った時は、保護して良かったのかどうかと少し悩みました。手術当日はおとなしく触らせてくれたのですが、そのままケージからフリーになることになり、今は半野良状態で過ごしています」

TNRするはずだったメイヤちゃん。結局長い間、嶋田家に居座ることになり、そのまま流れで家猫になった。

心を開いてくれる日を心待ちにして

メイヤちゃんは、とてもビビリな猫だが、少しずつ頑張ってみんなと過ごそうとしている。猫とは一切喧嘩をせず、仲良くしているという。

ケージから出てフリーになってから、一度体調を崩して何度か嘔吐するようになり、その時は長男と二人で追い込み漁のように段ボールで追い込み、捕まえた。動物病院に連れて行くと、マンソン裂頭条虫が見つかった。獣医師にも珍しい寄生虫だと言われたが、家のすぐそばには一角だけ畑と田んぼがあるため、嶋田家に来る猫達は、ほぼみんなマンソン裂頭条虫を持っている。

今でもメイヤちゃんには触れないが、いつも家の階段下にいるので、嶋田さんは毎日「大好きだよ」と伝えている。その時は目をクリクリさせてイカ耳になるが、逃げることなく話を聞いている。いつか触れるようになることが、嶋田さんの目下の目標だ。

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