働くシングルマザーが抱える悩みのひとつに、子どもの急な病気やけがで仕事を継続的に休む、もしくは早退をしなければいけない状況になったときの対処法がわからないということがあるのではないでしょうか。2021年1月1日から育児・介護休業法施行規則等が改正され、子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります。先日、私の友人がこの制度を知っていたおかげで、会社の上司を論破できたそうです。
職場に救急隊から電話が!子どもが救急車で運ばれた
私の友人はシングルマザーで2人の中学生の子どもがおり、正社員として働いています。
ある日、いつものように仕事をしていると、一本の電話がかかってきました。
職場の同僚が慌てた様子で電話を友人に取り次ぎ、電話に出ると「救急隊です。お母さんでしょうか?お名前をお願いします」と言われ、名前を名乗ると子どもが救急車で病院に搬送中で、すぐに病院へ向かってほしいとの連絡でした。
子どもは遊んでいるときに足を骨折してしまったのです。
即入院・手術の必要がありましたが、無事に手術が終わり退院を控えた頃、彼女はある悩みを抱えていました。
学校への送迎はどうする?
彼女の子どもは退院後、松葉杖で生活を送る必要があります。自宅から学校までは距離があるため自転車通学をしていましたが、松葉杖ではもちろん自転車に乗ることはできません。また中学校までは公共の交通機関もなく、友人が送迎する以外方法はありませんでした。
しかし彼女は正社員で働いており、子どもの送迎や通院・毎日のリハビリなどを考えるとこれまでの退社時間では通院ができません。
そこで彼女は、時短勤務の相談を上司にすることに決めました。
彼女は上司に相談する前に、国の制度的に何か活用できるものがないか調べていたようです。
子の看護休暇・介護休暇で上司を論破!
子どもが退院する前に上司に時短勤務について相談をしたのですが、上司からは「それは無理!そんな特別なことは認められない」と言われたそうです。そこで介護休暇について説明をしても上司は「該当しない」の一点張り。挙句の果てには「タクシーを使えばいい」と言われたのです。
彼女は調べた内容をまとめた資料と厚生労働省から出ていたリーフレットを上司に渡し、再度説明をしたそうです。上司は黙ったまま、資料を受け取りその日は終わりました。
翌日、介護休暇に該当すると人事より連絡があり、彼女は子どものリハビリが完了するまでの3カ月間、2時間早く退社できるようになり子どもの送迎をしています。
3カ月は長いけれど、長い人生で考えるとほんの一瞬
彼女はこれまでずっと正社員として働いてきました。子どもの急病などで仕事を休むことはありましたが、長期間に渡る休みや時短勤務をしたことはありませんでした。そのため職場に迷惑がかかるのではないかと悩んだそうですが、いま一番大切にすべきものは何かを考え、時短勤務を申し出ることにしたそうです。
子どもや親の介護を理由に退職しなければいけないと思う方も多いかもしれません。
しかし、2021年1月からよりパートや正社員、労働時間などに関係なく、すべての労働者が子の看護休暇や介護休暇を取得できるようになります。また半日単位での取得から時間単位での取得が可能となります。
今回の彼女の話を聞き、制度について知っておくことの大切さを学びました。そして私を含め子どもを育てるシングルマザーにとって、仕事と育児が両立できる環境が整いつつあるのかなと感じた出来事でした。