コロナ禍によってマスクは生活必需品となったが、それ以前から、冬場には風邪やインフルエンザ対策などに加えて「防寒具」として使用する人もいた。マスク開発競争が激化するコロナ時代において、水泳用品メーカーのフットマーク株式会社はこの「温かさ」に特化した「じんわ~りあたたかマスク」を、さらには化粧の付着対策となる「ファンデーションがめだちにくいマスク」(ともに税込1100円)を11月から発売した。実際に着用し、同社の担当者に話を聞いた。
「じんわ~りあたたかマスク」は表が白で、内側がグレー。肌に優しくフィットし、寒風の中を歩いていると口元が温かく包まれていると実感できた。タテ約14センチ、横幅は左右で約12センチずつと大きく、鼻の根元まですっぽり覆える。マスク装着から1時間後の顔の表面温度は同社の通常タイプで24.5度なのに対し、同商品は27.1度(自社調べ)。内側の生地に保温性があり、吐息の湿気を逃さず、マスク内で温かさをキープしていると感じた。
夏場だけでなく、マスクをすると息苦しさもあって鼻を出してしまいがち。それではマスクをする意味がなくなってしまうが、寒い時期の外出時に鼻の頭が冷たくなる人にとって、毛布のようにマスクで鼻を包めばその悩みも解消される。防寒と感染対策の両面で一石二鳥となる。同社では、夏場に水に濡らして使う「サマーマスク」を発売した背景から、「冬のマスクが欲しい」という声が寄せられていたという。衣服と同様、マスクにも季節を取り入れる時代になった。
同社広報室の吉河祐子さんは当サイトの取材に「夏マスクを販売している中で、お客様から直接であったり、レビュー等で『冬用のマスクも楽しみにしている』といった声をいただいておりました。また猛暑を乗り越えるための夏マスクを多くのお客様にご購入いただいたことからも、季節にあったマスクは当然必要であるとも考えておりました。『夏=暑い』から冷やす…という考えと同じように『冬=寒い』→『温かい=防寒できるマスク』を作る構想は当初からありました。もちろんお客様の声でも『温かいマスク』は一番多いご意見でした」と明かす。
さらに、吉河さんは「余談ですが、コロナ禍以前も冬場は防寒としてマスクを着ける方も一定数存在していたかと思います。このマスクはご自身の呼吸から出る湿気を熱に変え、あたたかさを生み出す仕組みも持ち合わせていますので、より防寒具としてのマスクを実感いただけるのではないかと思います」と付け加えた。記者も長年、防寒具という意識で冬場の外出時は健康体でもマスクをすることが多かったので、説明の中の「一定数」に当てはまる。
ただ、暖房の効いた室内では口元が熱くなるかも…とも感じた。その場合、スペアとして持参した薄手の不織布マスクなどに代えることもありか?
吉河さんは「濡らすマスクの時もそうでしたが、お客様自身の生活スタイルに合わせ、その場その場に適したマスクを使い分けていただければと考えています。エアコンが十分に効いた冬場の室内では、もしかするとクールなマスクのほうが合っているかもしれません」と指摘した。
メイク付着対策商品も開発 マスクはますます多様に
一方、「ファンデーションがめだちにくいマスク」は、化粧をする人の悩みのひとつである「マスクへのメイクの色移り」「汚れが目立って気になる」「付け外しの時に人目が気になる」…といった日常の小さなストレスを解消する。
吉河さんは「まず、肌側にカラー生地を使用しているのでメイクがついても目立たないという安心感があります。もちろん、通常のマスクよりメイクは移りにくいと感じます。また、個人的には撥水加工を施しているため、乾きやすいというところが気に入っています。特に冬場は洗濯物全般が乾きにくくなりますが、これまでのマスクと比べ、かなり早いです」と説明した。
通常の商品に対し、季節に合わせた特別なマスクは夏と冬の2パターンと思われるが、「メイクが着かない」など、日常の中で感じる課題に対応した商品は今後さらに多様化、細分化されるのではないか。吉河さんは「今後もお客様の声をもとに、生活に必要なマスクや生活を豊かに感じさせてくれるマスク、贈り物としてのマスクなどなど様々なシーンでご利用いだける商品をもっともっと開発していきたいと考えております。実は、現在いくつか開発中のものもあります。ぜひご期待ください」と意欲を示した。
本格的な冬の到来を前に、新型コロナウイルスの感染拡大がさらに懸念されている中、マスクの重要性がさらに高まっている。同時に、感染抑止だけでなく、付加価値のあるマスクが開発されていきそうだ。