工業地帯の一角をさまよっていた子猫、偶然猫好き一家の家族に拾われて自由気まま、一匹狼のように暮らす

渡辺 陽 渡辺 陽

あんこちゃんは、生後2カ月くらいの時、工業地帯の一角にいた。たまたま近くを車で通りかかった真鍋さんの妹が保護した。真鍋さん一家は、家族全員猫が好き。敷地内で家の中と外を自由に出入りして猫たちが暮らしている。あんこちゃんは、愛情をたっぷり注がれて成長した。

 

工業地帯の一角にいた1匹の子猫

愛媛県に住む真鍋さんの妹は、車で通勤していた。2018年4月、いつも通り車で家路につくと、工業地帯の一角の空き地のところで何やら動物が動くのを目にした。気になって車を停めて見ると、子猫が1匹いた。母猫や兄弟猫の姿は見当たらず、なぜそんな場所にいるのかも分からない。

真鍋さん一家は昔から猫を飼っていて、みんなが猫好きなので、妹は子猫を抱き上げ保護した。子猫は生後2カ月くらい。誰かに捨てられたのか野良猫なのかは分からないが、抱っこしても嫌がらず、そのまま車に乗せて連れ帰った。

食欲旺盛な子猫

名前は、家族で話し合い「あんこちゃん」にした。

真鍋さんの実家には、らぶちゃん、とらじくん、みーこちゃんという3匹の猫がいたが、なかでも温厚で優しい性格のとらじくんは、新しく来る猫をまるで我が子のように可愛がった。あんこちゃんのことも母猫のように毛づくろいしてあげた。

あんこちゃんは元気だったが、よほどお腹がすいていたのか、ごはんを与えると無我夢中でがっついた。他の猫を押しのけるようにして食べるのは、大人になった今でも変わらない。ただ、チュールは好まず、ドライフードだけ食べている。

真鍋さん宅に来た当初から人懐っこく、真鍋さんが寝ようとするとついてきて、布団にもぐりこんで一緒に寝た。

「朝になると、決まった時間に部屋の前に来て待っているのですが、そういうところがたまらなく可愛いんです」

1匹でいるのが好きな一匹狼タイプ

あんこちゃんは、子猫らしい元気なおてんば娘だった。しかし、成長とともに性格が変わってきて、群れることを好まず一匹狼のようになっていった。他の猫とケンカをすることはないが、いつも1匹で散歩に行ったり、家の2階の窓から外を眺めたりしていることが多いという。

そんなあんこちゃんも真鍋さんには甘えん坊の顔を見せる。背中をなでてもらうのが大好きで、気持ち良さそうに地面に腹ばいになる。

実家で5匹の猫を飼っている真鍋さんだが、共有する時間が増えるにつれ、猫と人の信頼関係が深まっていくという。

「猫によって触られると気持ちいいところや嫌がるところが違っていて、分かり合える部分がだんだん増えていくのが、猫と暮らす醍醐味なんです」

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