東京都に住む石井さんは、4匹の猫と暮らしている。東日本大震災で被災した人が飼っていたサリコちゃん、誰かに虐待された過去を持つ小麦ちゃん、民家の屋根裏から壁の間に落下し九死に一生を得たフジコちゃん、そして、最後に迎えたフジコちゃんの弟クロちゃん。いま、4匹の猫と暮らす幸せを謳歌しているという。
屋根裏にいた子猫たち
2017年7月、東京都に住む石井さんの夫は便利屋をしているが、お客さんから「壁の向こうから子猫の鳴き声がする、なんとかしてほしい」と相談を受けた。壁の隙間には1匹の白猫の子猫がいた。屋根裏から落ちたようだった。猫を2匹飼っていた石井さんは、レスキューした子猫を飼うことにした。活発な子猫だったので、名前はフジコちゃんにした。
ほっとしたのもつかの間、翌日、「まだ猫がいるようだ」という連絡を受けた。もう一度探してみると、広い屋根裏に母猫と2匹の子猫がいた。母猫は逃げてしまったが、子猫は保護できた。
出会いは縁、一緒に暮らそう
ひとまず2匹の子猫は石井さん宅に来た。女の子はメイちゃん、男の子はクロちゃんと名付けた。
クロちゃんは、フジコちゃんが保護された時の壁をぶち破る物音や自分たちが保護されたことに驚いた様子で、メイちゃんと一緒に固まっていました。フジコちゃんと再会すると少し安心したのか、活発に動き回っていた。
メイちゃん、クロちゃんがやってくると、先住猫のサリコちゃんは、今まで自由に出入りできた部屋に入れなくなり、何やら物音がするので不思議そうにしていた。勘の鋭いサリコちゃんは、猫がいることに気づいたようだったが落ち着いていた。小麦ちゃんは、2匹を歓迎したが、あまりにも威勢がいいのでびっくりしたようだった。
女の子のメイちゃんは、石井さんの友人が引き取った。石井さんはクロちゃんの里親を探すことも考えたが、里親詐欺など良くない話も耳にしたこともあり、せっかく出会ったのだから我が家でと思い、一緒に暮らすことにした。
みんなで一緒にいられて幸せ
クロちゃんは、歩くだけで人を笑顔にすることができる天然の面白さがある。甘えん坊でフジコちゃんやメイちゃんの真似をよくする。寂しかったり、思い通りに行かないことがあったりするとオシッコすることがある。
「保護して間もない頃、主人に甘えたくてもサリコやフジコが近くにいて甘えられなかったことがあったのですが、ソファーに座っていた夫の横でオシッコをしたことがあります。夫は『「あったかい!え?冷たい!』ってコントみたいに慌てました」
クロちゃんを迎え、4匹の猫と暮らすことになった石井さん。
「見事に猫中心の生活をしています。猫のために家をプチリノベーションしました。夫は1匹目のサリコを迎え、初めて猫と暮らしたのですが、『猫ってこんなにずっとくっついているものなの?』と、よく言っていました。私達が家にいる時は、いつも同じ空間で猫がくつろいでいます」
猫と暮らしていると、「楽しいことが盛りだくさん」だと言う石井さん。「皆で一緒にいられて、とても幸せだね」と、夫婦でよく話しているという。