相棒だった愛犬が亡くなって意気消沈した猫、天真爛漫な弟分の猫を迎え、元気を取り戻す

渡辺 陽 渡辺 陽

大阪府に住むAさんが飼っている政宗くんは、家に来た時から姉のように慕っていた犬が亡くなって、すっかり元気をなくしていた。Aさんは政宗くんのことが心配で、相棒になってくれる猫を迎えることにした。しかし、子猫の天太くんのトライアルを始めたが、政宗くんはシャー!っと、激しく威嚇した。

 

ともに暮らした小型犬が亡くなって

2005年7月に大阪府に住むAさんに保護された猫の政宗くん。犬派のAさん家族が飼っていたヨークシャーテリアと仲良く暮らしていた。2年後、ヨークシャーテリアが亡くなってしまい、政宗くんは、まるでお姉さんが亡くなったかのように悲しんだ。ごはんも食べなくなり、肝臓の数値も悪くなってしまった政宗くん。空を見上げてポロリと涙を流す姿を見て、Aさんは「政宗のために猫を1匹迎えよう」と思った。

Aさんは、SNSの里親募集コミュニティで猫を探した。

本気のシャー!

2007年7月、奈良県の駅に捨てられていたという子猫が掲載されていた。Aさんは、少しはかなげな、しかし愛くるしい顔にひとめぼれした。

保護主がAさん宅まで子猫を連れてきてくれた。保護主のところでは、先住猫との折り合いが悪く、子猫は1匹だけでいられる部屋にいたという。「寂しいのか、とても大きな声でよく鳴く」と保護主が心配していた。

「うちへ来てからは私がずっと一緒にいるので、安心したのか大声で鳴くことは一度もありませんでした」

本当の兄弟のような兄と弟

名前は、どこまでも続く天のように広く、太陽のように明るく温かな心を持った子になるようにという願いをこめて、「天太(てんた)くん」と名付けた。 

トライアルからスタートしたのだが、天太くんは、天真爛漫な性格で、すぐにAさん宅になじんだ。先住猫の政宗くんは、天太が来て数日間、初めて見る子猫をとても警戒してシャーシャーと威嚇した。Aさんは、猫の本気の「シャー」がものすごい迫力でびっくりした。

「政宗との相性が良くない場合は、保護主さんに返さなけ ればならなかったので正直焦りました。私はどうしても天太を家族にしたかったので、ネットでいろんな記事を見て、ケージに入れた状態で会わせてみたり、抱っこした状態で会わせてみたりしました」

しかし、政宗くんは、天太くんが少しでもそばに近寄ると威嚇した。手は出さないがすぐに逃げてしまった。それでも天太くんはめげずに「遊んで!」と近寄っていった。

政宗くんは、拒絶する割に、天太くんが離れると気にしていた。Aさんは、「仲良くしてあげて!」という気持ちを抑え、政宗くんを急かさずゆっくり見守ることにした。すると、トライアル終了時には、一緒にごはんを食べて遊ぶようになっていた。Aさんは、あきらめなくてよかったと安心した。

天太くんは政宗くんを「お兄ちゃん」として認識したようで、そばに行ってはごろんとお腹を見せてアピールした。政宗くんについて行って、同じことをしようとする姿は何とも健気で愛くるしかった。 

政宗くんは愛犬が亡くなってから一人でじっとしていることが多かったが、元気な天太くんがずっとそばにいてくれたお陰で、心も体も元気を取り戻していったという。

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