コロナ禍に負けず店舗数爆増中のカレー店…なぜ「100時間カレー」は勢いを失わないのか?

上村 慎太郎 上村 慎太郎

 今年初頭からのコロナ禍で飲食業界は未曾有の危機にさらされている。閉店が相次ぎ、街を歩いていても「ああ、ここも閉店か」ということも度々。残念ながら、有名な老舗処でもその逆境を乗り越えられないことも多い。そんな中、カレー店という専門性の高いジャンルで急激に店舗数を増やしている店がある。それが「100時間カレー」(アークス・東京都豊島区)だ。

 100時間カレーはあの有名な「神田カレーグランプリ」で2度も優勝した実績のある有名店。神田カレーグランプリは、400店舗以上のカレー店がひしめく東京神田・神保町エリアのカレー店ナンバーワンを決めるイベントで、2011年から毎年秋に開かれ(今年は非開催)、2日間で4万5000人以上のカレーファンが来場する一大イベントだ。

 100時間カレーは、その神田カレーグランプリで初出場の2014年にいきなり圧倒的な差で優勝。2015年には惜しくも準優勝と涙を飲むが、2016年には再び圧倒的な差で優勝という偉業を成し遂げた。2度優勝の記録はいまだ塗り替えられてはいない。その後、100時間カレーは神田カレーグランプリからは“勇退”している。

 そもそも「100時間カレー」というネーミングは何なのか。これは単純明快、提供するカレーを作るのに100時間以上もかけているのだ。聞きました?奥さん!100時間ですよ?うちの自慢のカレーは長い時間かけて煮込んで寝かせてます、と言っても100時間には到底及ばないはず。100時間かけると一体どんな味になるのか。

 今回、訪れたのは100時間カレー神田店。JR神田駅を出るとすぐに神田西口商店街の入口が目に入る。店までは歩くこと2、3分だが、その間にもカレー店がちらほら。さすが、日本一のカレー店街だ。この界隈でカレーを食べようとしたら事前にチェックしてから行かないと迷っている間に日が暮れてしまいそうだ。

 店構えは非常にコンパクトな感じ。中に入ると左右にカウンターがあり、それぞれ4、5人が着席できるくらいである。このコンパクトな店内にカレーファンの人気が、100時間かけたカレーのようにギュッと凝縮されている。

 今回はこのカレーを味わいつくすため、2人で訪れた。まずはオススメの「とろとろ卵のオムカレー」と「手仕込チキンカツカレー」から。待っている間に店内を見渡すと、おお!ありました。神田カレーグランプリ優勝の証が。しっかり2つあります。

 早速、カレーが運ばれてきたが…いやいや、オムカレーのボリューム感が凄くないですか?バターライスの上にとろとろの卵、そして黒色に近いルーが丁寧にかけられている。食べ応え十分だが「うちは女性の方でも皆さんペロッと召し上がっていきます」と、お店の方は言う。とろとろ卵にスッとスプーンを入れると、バターライスの香りがふわっと鼻を抜ける。やはり100時間かけたカレーは違う。

 フォンドボーをベースにした濃厚な欧風カレーだ。小麦粉を黒くなるまでフライパンで焙煎。野菜や果物を飴色になるまでひたすら炒め、それに牛肉や香草を煮込んだフォン(ダシ)を加え、さらに煮込む。そこに20種類以上のスパイスなどを加え、出来上がったものを今度は数日かけて冷温熟成させるそう。聞けば聞くほど、気が遠くなるほど手間のかかる作業だ。

 チキンカツカレーはというと、とにかくチキンが大きい。サクサクなチキンを一口食べると気がつくのが、衣に下味が付いているということ。この一手間が一気に味わいを変える。ここでふとメニューを見るとハヤシライスの文字が目に飛び込む。

 少し浮気してハヤシライスをいただくと、とろみがあり甘味が強く、トマトの酸味が心地良い。それでいてコクがあるという非常に個性的な逸品。欲張りなあなたには、カレーとハヤシのハーフ&ハーフがオススメです。他にも「季節の野菜カレー」や「アボカドチーズカレー」など女性に人気が高そうなメニューも盛りだくさんだ。

 コロナの影響でデリバリー需要が増え、イートインとデリバリー専門店、合わせて110店(8月末)を超える急成長を遂げている100時間カレー。その人気の秘密は間違いなく味にアリ。食事をデリバリーする際に近場にあれば一度試してみてはいかがだろうか。ちなみにレトルトの販売もしており、店舗や関東圏内のスーパーサミットでも手に入るぞ。100時間以上かけたカレーをぜひ、味わってみよう!

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