「家どこ?」「阪急沿線です」「ええやん!」こんな会話、関西人なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。阪急電車、マルーン色、阪急沿線、宝塚歌劇、阪急百貨店、阪急百貨店の紙袋ーー“阪急ブランド”の人気の秘密を徹底検証する新刊「関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか」(交通新聞社)が、京阪神の書店を中心に売れ行きを伸ばしています。
著者「阪急は確固たるブランド」
著者は鉄道ライターの伊原薫さん。「『技あり!』の京阪電車」(交通新聞社)や「大阪メトロ誕生」(かや書房)などの著書があります。
8月17日に発売後、大手書店の週間売り上げランキングに度々ランクイン。わずか2週間で重版が決まりました。追加印刷分は関西エリアの書店で引っ張りだこになり、品切れの続くオンライン書店もあります。
売れ行きが好調なことについて著者の伊原さんは「『阪急』といえばマルーン色の車体や緑色の座席、あるいは百貨店や宝塚歌劇などをすぐに思い浮かべられると思います。本書がこれだけ多くの方にご注目いただけたのは、『阪急』という存在が、利用者だけでなく、多くの人々に確固たるブランドとして認識されているということの表れだと改めて実感しました」と分析。「本書を通じて、阪急の様々なこだわりやトリビアを知っていただけたらと思います」。
「阪急」の現在・過去・未来が1冊に
阪急の創業者、小林一三の経歴やエピソードを織り交ぜつつ、阪急百貨店の紙袋の秘密や大食堂での心温まるエピソードからスタートします。阪急電車の章では、車体の窓枠や行先表示器、「ゴールデンオリーブ」と呼ばれる緑色の座席など、鉄道ファンの心をくすぐるパーツにもスポットを当てます。
各章に挟まれるコラムも読みごたえあり。「野球と阪急の深い関係」「お客様に優劣をつけない 阪急のポリシーを強めたある事件」「阪急電車をつくり続けたメーカーは今、路面電車の国内トップメーカーに」「他社にはあって、阪急にはないアレ」「こんなにあるグループ会社」など、阪急トリビアにへえーっと感心するだけでなく、人生や仕事に小さなヒントをくれそうなストーリーが詰まっています。
最終章は阪急の現在・過去・未来。2021年春に完成予定の「阪急電鉄神戸三宮駅」新ビルの話題で締めくくられます。
「阪急電車にお辞儀」見直しに著者は
実は、本書にも登場する「宝塚音楽学校の生徒は阪急電車にお辞儀する」という長年の暗黙のルールですが、本書発売後のタイミングで「見直しが進められている」と報道がありました。この一報に伊原さんはどう感じたのでしょうか。
「ブランドを維持するためには、時代の流れを敏感に感じ取り、たえず変化してゆくことが必要です。これから阪急がどのように変化し、どのような車両やサービスを提供してくれるのか、楽しみにしたいと思います」(伊原さん)
「関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか」伊原薫・著、交通新聞社、900円(税抜き)は、全国の書店やオンライン書店などで発売中。