コロナ禍の今、なぜ和歌山に?マカオの総合エンタメ企業が事務所をオープンした狙い

山本 智行 山本 智行

 コロナ禍により、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致活動は逆風にさらされている。そんな中、中国・マカオの総合エンターテインメント企業「サンシティグループホールディングス」が和歌山市内に推進活動の拠点となる事務所をオープン。この11日から一般公開されている。なぜ、この時期に。その狙いはなんなのか。

 事務所は南海本線の「和歌山大学前駅」と直結しており、日本初のIRライセンス獲得を目指す「サンシティグループホールディングス・ジャパン」(東京都)のプロモーション拠点となる。広さは354平方メートルもあり、天井が高く、ゆったりとした空間だ。

 地元の住民に未知のIRに関心を持ってもらうことを一番の目的としており、出入りは自由。室内には人工島「和歌山マリーナシティ」を想定した完成予想模型(縦3メートル、横4.4メートル)が展示され、見る者を圧倒する豪華なIRを紹介する映像も常時流されている。カフェのドリンクは無料で提供。会議室も併設されており、常時スタッフも配備し、これらを一般開放することで地元住民とより交流を図りたい考えだ。

 広報担当の成田篤史さんは「地域の方々に私たちが目指しているIRやサンシティのことを知ってもらい、理解を深めてもらいたい」と話し「このスペースを使って個展を開いたり、イベントを開催してもらって地域の活性化につながれば」と期待した。

 もちろん、事務所の場所にはこだわったという。「様々な場所を探しましたが、最終的には今後を担うのは若い世代。その意味で和歌山大学前という場所にしました。大学生にもフリースペースを使って、和歌山の未来をどうするかを語り合っていただければ」と話している。

 さらに、ここに来て“和歌山愛”を深めており、県内のスポーツやアート活動を応援する「WAKAYAMA ACTIVATION PROGRAM」を実施。その第1弾として男子のバスケットボールクラブ「和歌山トライアンズ」とオフィシャルスポンサー契約を結んだ。今後は教育にも力を入れていく考えを持っている。

 そのサンシティグループは一般的にはあまり知られていないものの、マカオ屈指の総合エンターテインメント企業としてアジアを中心に16カ国26都市でカジノ関連事業を展開している。ここ和歌山では地元の食、文化、歴史を生かした誘客施設の実現を目指しており、予算規模は4000億円から4500億円。2600の客室にヴィラ、レストランやスカイラウンジ、温泉スパに加え、大規模な展示スペース、屋内スポーツ、マリンスポーツ施設を予定している。

 IR誘致を巡っては大阪、横浜、長崎、和歌山が名乗りを挙げており、最終的には3カ所が選ばれることになっている。和歌山ではカナダのIR投資会社の日本法人「クレアベストニームベンチャーズ」(東京都)も事業者として参戦し、一騎打ちムードになっているが、事務所を開業したことでサンシティが一歩先んじた形だ。県は10月末に応募を締め切り、2021年1月ごろに事業者を選定する予定。光り輝くのはやはりサンシティか。和歌山県民でなくても気になるところではある。

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