京言葉での怪談朗読劇で背筋ゾクッ!コロナ禍でもエンタメを絶やさない…ある女優の思い

八木 純子 八木 純子

 京言葉による「怪談朗読劇」をご存知ですか。女優・まつむら眞弓さんがライフワークにしており、三味線の生伴奏とともに繰り広げられる妖艶でゾクゾクッとするお噺です。コロナ禍によりイベントが中止となる中「エンターテイメントの灯りを絶やしたくない」と同士が集まり、京都の東映京都撮影所内の特設野外ステージで新作を発表し、YouTubeでの配信も決まりました。

エンタメの灯りは絶やしたらあきません

 テレビドラマや映画で活躍し、東映京都撮影所に所属する女優・まつむら眞弓さん。着物姿が似合う彼女のもう一つの顔ともいえる活動が「京都」にこだわり、京言葉を駆使しながら独自の視点で作り上げた「怪談朗読劇」です。2010年から京都を中心に全国各地で演じられてきました。

 ところがです。コロナ禍でせっかくの怪談朗読劇も披露する機会が激減。今年は新作の「怪談たたり三味線『三の絃、まるたけえべすノヲト』」の会場として、法然院と京都市内のホールを考えていたのですが、ホールでの開催は見合わせることになりました。そこで、怪談朗読劇にかかわっている東映スタッフも少なくないことから急きょ、撮影所内に特設野外ステージを設置して、仲間にも見てもらうことにしたのです。

 「コロナのために一時は、新作の公開を断念しようかと思いましたが、スタッフの後押しもあって公開にこぎつけることができました。ホールでの公演がダメになった時、仲間たちのいる撮影所の駐車場スペースを使わせていただけたらと思いつき、関係者のご理解とバックアップで可能になりました」とまつむらさん。この時「本当にエンターテイメントの灯りを消したらあかんと心から思いました」ともいいます。

コロナ対策もバッチリ

 出し物は、2018年から始まった「怪談たたり三味線」シリーズの第3弾です。三味線伴奏は津軽三味線・響(ひびき)会主の川合絃生(げんしょう)さん。もちろん、客席の間隔を十分に取り、マスク着用、手指の消毒など感染予防対策に配慮した上で午後6時半、日没直後の夕闇の中でいよいよ開演となりました。

 「そのお三味線を見つけたんは、うちが七つになった秋の終わりどした…」

 まつむらさんのはんなりとした美しい京言葉がかえって怖さを増幅させます。

 そして、見ものはもう一つ、まつむらさんの懸命に稽古したという三味線。徐々に暮れていく幻想的な雰囲気の中、あやしげな音色が響きわたって1時間の朗読劇はクライマックスを迎えました。

 今回は一般公開ではなく、主に撮影所の関係者を対象とした公演でしたが、私も含めて集まった80人近くが残暑厳しい中、背筋も凍る、ひんやり気分を味わうことができました。

 「怪談朗読劇も怖かったかもしれませんが、今年はコロナの怖さを痛感した半年でした。それでも、こんな状況の中でも多くのみなさまにエンターテインメントを楽しんでいただければ、役者として幸せです。これからもコロナに負けず、仲間とがんばっていきたい」とまつむらさんは話しました。

 怪談話と言えば、夏の風物詩ですが、まだまだ暑い日は続きそうです。動画をご覧になれば、涼しさを味わえるかもしれません。

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