後ろ脚2本ともちぎれかけていた猫を保護…断脚手術の後、猫好き夫婦のもとで幸せに

渡辺 陽 渡辺 陽

中沢りるちゃんは、脚を怪我して倒れていたところを保護された。後ろ脚が2本ともちぎれかけている重症だった。保護団体が保健所から引き出して断脚。他の猫とは距離を置き、ずっとケージの上で暮らしていた。

後ろ脚がちぎれかけていた猫

2012年5月、交通事故に遭ったのか怪我をしている猫を保健所が保護した。後ろ脚は2本ともちぎれかけていた。東京都で猫の保護活動をしている「東京キャットガーディアン」が保健所から引き出し、5月21日、両後ろ脚の断脚手術をしたという。

東京都に住む中沢さんは、幼い頃から猫を保護しては飼っていた。大人になってからも、身体が弱いスコティッシュフォールドの猫をブリーダーから譲り受け、ウィルくんと名付けて可愛がっていた。

2013年、ウィルくんの前に飼っていた猫が亡くなって、ウィルくん1匹だけになってしまった。ウィルくんは、まだ7歳。一緒に遊べる猫が、もう1匹猫がいてもいいと思ったそうだ。

ずっとケージの上で暮らすの?

中沢さんは、以前から保護猫のことが気になっていて、都内の保護団体に行っては、缶詰のフードを寄付したり、募金をしたりしていた。東京キャットガーディアンにも何度か夫婦で足を運んだ。

2012年11月、東京キャットガーディアンに行くと、気になる猫がいた。ちょこんと座っていたので、後ろ脚がないのが分からなかった。ケージの上の段にいたので、「こんにちは」と声をかけるとすりすりした。ある日、猫が近寄ってきて手に寄りかかった時、「あれ?」と思うと後ろ脚がないことに気づいたという。 

その様子を見ていたスタッフが、「この子、後ろ脚がないんですよ」と言った。

「その後も何度か訪れたのですが、『じゃあね』と声をかけて帰ろうとすると、いつも寂しそうな顔をしていました」

人懐っこい猫だったが、猫とは関わらず、ケージの上のほうにいて、他の猫たちが遊んでいるのを見ていた。他の猫が近づくとシャーっと威嚇するので、スタッフは「先住猫を飼っていない人にもらってほしい」と言っていた。中沢さんは、床で寝転んだり、好きな場所でくつろいだり、のびのび過ごしてほしいと思ったそうだ。

2本脚でも走れる

中沢さんはウィルくんという猫を飼っていたが、大人しい猫で、激しく遊んだり、飛んだり跳ねたりすることもなかったので、猫を迎えることにした。

2013年1月13日、猫を譲渡してもらった。名前はリルちゃんにした。リルちゃんは3~5歳、ウィルくんは7歳だった。最初はウィルくんとリルちゃんは別々の部屋で暮らした。数日後、対面させるとリルちゃんのほうがシャーっと怒った。ウィルくんは驚いて、離れたところからそっと見ていたという。

「ゆっくりなれていきました。いつもべったりくっついているような関係ではありませんが、仲良しで、たまに身体をくっつけて寝ています」

リルちゃんは2本脚だが、走ることもできる。ウィルくんは、その様子を見て「速いなあ~!」とびっくりしているという。

リルちゃんはトイレを失敗することがあるが、中沢さんは「老猫になれば、みんな失禁したり、おむつをしたりします。お尻の毛に便がついて汚れていないか気に掛けていますが、だから飼えないとか面倒だと思ったことはありません」と言う。

中沢さんは、リルちゃんをなでたり、リルちゃんに甘えられたりして愛情を伝え合う時が至福の時だと思っている。

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