「ひっぱりだこ飯」や「肉めし」などで知られる駅弁製造の老舗、淡路屋(神戸市東灘区)が公式ツイッターに投稿した新商品「飛沫感染予防シールド付き弁当箱」が注目を集めています。コロナ対策のため、いたって真剣に開発したにもかかわらず、SNSの反応は「これ早弁やん!」。<早弁スタイル><弁当隠す子みたい><早弁はかどる>など、学生時代を懐かしむユーザーたちが大盛り上がり。同社に感想を求めると、常務の口からは予想外の言葉が…。
営業部員のアイデア即採用
コロナ禍により大きく様変わりした生活様式は駅弁業者にも影響を及ぼしました。今年5月、神戸新聞社の取材に対し「どこまで落ちていくのかというほど、売り上げは落ち込んでいます」と語っていた同社の柳本雄基常務。
それでも大切な顧客には少しでも安心して食べてもらいたいーー。そんな思いから「弁当とは何ぞやを考えてみよう」と社内に呼び掛けました。すると営業部の男性部員が「壁を作ってみるのはどうでしょう」。飛沫飛散防止のアクリル板やシートをヒントにしたアイデアを即採用。自他の飛沫を気にせず弁当に集中できる「飛沫感染予防シールド付き弁当箱」が誕生しました。
アマビエが見守ります
弁当箱の構造を紹介します。紙製のふたを開けると、内側にシールドが折り込まれています。印字された手順にそって組み立てると、弁当の中身を囲むように三辺に壁が現れます。側面に描かれるのは、疫病退散のご利益があると噂の妖怪アマビエ。さらに、弁当箱を支えやすいよう、親指が差し込める穴も用意するという細やかさ。穴は左右に2カ所開いているので左利きの人も安心です。
第1弾は8月7日発売
「飛沫感染予防シールド付き弁当箱」第1弾は、8月7日発売の「令和の嗜(たしな)み弁当」1000円(税込み)。
メニューは、4種のご飯(白飯、かやく御飯、赤飯、ゆかりごはん)、牛肉煮、鶏つくね串、さわら塩焼き、鶏旨煮、こんにゃく煮、がんもどき、竹の子煮、椎茸煮、南瓜煮、小芋煮、人参煮、ししとう素揚げ、糸こんにゃく煮、だし巻き玉子、梅花蓮根、焼き板蒲鉾、枝豆入りひじき、小松菜と人参のお浸し、梅干し、ゆず餅という全24品の盛りだくさんな内容。「いろいろな素材の入った、偏りのない内容の幕の内に仕上げました」(柳本常務)。
販売場所は、駅の売店(JR新神戸店、JR神戸店、JR西明石店)や一部百貨店など。
商品化なるか?「早弁シールド付き弁当箱」
それにしても、早弁の盛り上がりに困惑しているのでは。恐る恐る柳本常務にたずねると「こうなったらシールドに教科書をデザインした弁当を…」。えっ、ほんまに商品化するんですか? こちらがあたふたすると「悪乗りするしかないじゃないですか」と大笑い。冗談ですよね。でももしかしたら近々、早弁デザインの駅弁がお目見えするかも。世間をあっと驚かす弁当に定評のある淡路屋さんなら…やってくれる…かもしれません。