銀婚式まであと3カ月…なのに結婚指輪が!? 自転車乗りの“聖地”で起きた、優しい「奇跡」

広畑 千春 広畑 千春

 「昨日ヤビツ峠を自転車で走行中に結婚指輪が外れ無くしてしまいました

 (中略)

  銀婚式まであと3ヶ月で無くしてしまいかなりショックです

  世界仰天ニュース的な奇跡が起きて誰かの足下に転がってこないかな」

 

 自転車ロードレースの登坂競技「ヒルクライム」の“聖地”として人気が高い、神奈川県の「ヤビツ峠」(標高761m)。そこで練習していた男性が今月20日夜、悲痛なつぶやきをツイッターに投稿しました。

 ツイートの主はTEAM VIVA☆ZAPPEI MITSU(@mitsushiro88)さん。ロードバイクチーム「VIVA☆ZEPPEI」の隊長で、親しみを込め「ミツさん」と呼ばれています。買ったばかりの新車にまたがり、他チームのメンバーらとヤビツ峠に練習に出かけたのは今月19日。梅雨の曇天と高い湿気の中、へとへとで帰路についたとき、事件は起きました。

 ―どんな状況だったのでしょう?

「下り坂のカーブに差し掛かったとき、するっと指輪が抜ける感じがあって、『落とした!』と気付きました。すぐに自転車を止めて周辺を探したんですが見つからず、仲間も手伝ってくれたんですが、日暮れも迫り、迷惑を掛けられないので泣く泣く下山しました」

 ―思いの詰まった指輪だったのでは。

「25年前、少し太めで中央にゴールドも入ったデザインが『結婚指輪っぽくない』と、妻と2人で気に入って買いました。15年ほど前キャバクラに数回行った時に外した以外は(笑)、ずっと着けていたので、少しだ円形に変形している程でした。でもまさか抜けるとは…。自転車競技のトレーニングで結婚当時より10kg近く痩せて指が細くなっていたのと、トレーニングと暑さで大量に汗をかいていたせいかもしれません」

 ―奥様には話されたのですか?

「はい。帰宅してすぐに恐る恐る話したんですが、笑って『何やってんのよ~!もう、銀婚式用に新しいの買い直してよね』と言われました(笑)。でも、それでも諦め切れず、翌20日夜にツイートしたら、まさかの展開に…」

 そう。その翌日、21日午後2時すぎに「発見しました!」とリツイートが寄せられたのです。

 その人は同じくロードバイクが趣味でミツさんとも何度か練習をしたことがあるという、あおきP(@tac_ZA)さん。曰く「20日夜に自宅でミツさんのツイートを見たんですが、僕もヤビツ峠には何度も行っているので、そのカーブもすぐ分かりました。近くを小川が流れていて夏でも涼しいカーブなんです。翌日は特に用事もありませんでしたし、雨が降っていなければ自転車で探しに行こう、と」と振り返ります。

 21日も霧が出て小雨が降っていましたが、ツイートをヒントに道路端を行ったり来たりし、2往復目で発見。15号といえば直径2㎝にも満たない大きさですが「堆積物はありましたが、上から見て輪の形が確認できる格好で落ちていました。この時期の平日はまだ登山客や車も少なく、さらに現在ヤビツ峠の先は通行止めになっており例年より通行量は少なめでした。何より大雨が降らなくて、幸運でした」と話します。

 まさかの展開に、ミツさんの元ツイートには2万、あおきPさんのリツイートには3.4万ものいいねがつき、「こんな奇跡、本当にあるんだ」「勇者だ!」「すごく幸せな気分になりました」と感動の声が寄せられています。

 「探しに出かけてくれた皆さんに、また小雨の中、膝をついて手を汚してまで探し出してくれたアオキさんに心から感謝しています。そしてTwitterの凄さに心底驚きました」とミツさん。「あおきPさんとは何度か一緒に練習した事はあったのですが、連絡先も住んでる場所も知らず、Twitterもフォローしてなくて今回のやり取りで初めて顔と名前が一致しました。なので、多くの方が興味を持って拡散して頂いたお陰でこの奇跡が起きたと思います。本当に凄いです。見つかって本当に嬉しいです」と喜びます。あおきPさんも「多くの反響やお祝いのコメントを頂き嬉しいです。MITSUさんが素敵な銀婚式を迎えられますように」と祝福。

 指輪は今週末にもミツさんの元へ帰る予定だそうです。

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