ユーミン、桃井かおり、瀬戸内寂聴…。絶妙なラインを攻めてきて37年。最近では藤田ニコル、壇蜜、小池百合子東京都知事など新しい人物の発掘にも余念がない。どんなにキャリアを積もうとも、モノマネをする御本人との初対面は緊張すると明かす清水ミチコ(60)。しかしそのスリルが新規開拓を促すガソリンとなっている。還暦を迎えてもなお新しいネタにチャレンジし続ける理由とは。
印象深いのは、清水の十八番ネタである松任谷由実本人と初対面した日のこと。「誰かのライブ終わりの楽屋で初めてお会いして、私はガチガチに緊張しながらモノマネをやらせていただいていることを伝えたのを覚えています。そうしたらその週のラジオでユーミンさんが“まるでクマと農民が鉢合わせしたような雰囲気だった”と仰ってくれて。上手いことを言うなぁと嬉しかった」と思い出し笑い。
モノマネをする御本人と対面する心境は「気負けしないように気合を入れたり、初めから謝罪する気持ちを持ってお会いしたりしますが、やはりものすごく気まずいです」というも「でもそのヒヤヒヤする感じもスリルがあっていいのかも」と心の奥底では楽しんでいる。
鉄板ネタのみに頼らず、いまだ新規開拓をする理由にもスリルが関わっている。「新しいモノマネのネタは本人に似ていないものも多いし、90年代からやっている板についたネタの方が安全。でもそれだと自分が自分に飽きる。ヒヤヒヤするようなスリル感もない。自分が楽しんでやっているとその面白さはきっと伝わるだろうし、新しい風を入れるのも必要。似ていなくても“この人オイシイぞ!”と思ったらやるだけです」と生涯バッタもん宣言。
新しいネタに関しては「自分の中で絶大な自信があれば即やってしまいますが、通常は家族に見てもらって、そこでOKだったらマネージャーさんに見てもらう。その後にラジオやYouTubeで卸して、ウケたらテレビでやる。完全なる卸産業ですね」と解説する。