コロナで異変!京都の五山の送り火 大文字、今年はまさかの点?

村山 祥栄 村山 祥栄

中止の前例なき五山の送り火、初の挑戦

京都の夏の風物詩「五山の送り火」に異変が起きている。

6月27日、主催者である京都五山送り火連合会が、コロナウイルス対策の一環として、灯を灯す火床を大文字は75カ所から6カ所へ、他の山も53―108カ所を1、2カ所と大幅に減らし実行することを発表した。ということは、点?

事の真相を長谷川英文連合会会長(大文字保存会会長)に聞いてみた。

――今年は京都三大祭りの葵祭、祇園祭も中止となる中での実施予定ですが、よくご決断されましたよね?

4月から阿波踊りや博多どんたくなどの中止が報道され、一時は中止の方向で議論されていました。特に観覧ポイント付近は違法駐車や人の密集も多く地元からも中止の声が出たのですが、「お盆にお帰りになるご先祖様を送らねばならないだろう」ということで形を変えてでもやるべきだという声も多く、6月に入り点でやるという決断をしました。

 ――これまでもこうしたことはあったのですか?

送り火は1600年頃から始まり、最初は手に松明を持つ手松明からはじまり、火床に薪をくべる置き松明に代わり、昭和36年から現在の五山の送り火の形になりました。戦時中中止したことはありますが、戦後は台風のときも大雨の時も一度も中止したことはありません。だから今年もやります。ただ、点で灯すのは初めての試みなのです。

――点にしても五山の送り火の意義や効果は薄れない?

元々は共同墓地の前に火を焚いて、ご先祖さんがお盆にお帰り戴くための迎え火(8月5日―10日頃)をやり、自宅の前などで門火を焚き、送り火をしてご先祖さんがあの世にお帰り頂くというのがこの行事のおこりです。火を炊くことが送り火そのものなのであって、文字にすることが必要なわけではないのです。したがって、伝統行事としての意義や効果は全く変わりませんのでご安心ください。

まさかの『大』は文字ではなく人型だった?

――では、なぜいつもは「大」の字なのでしょうか?

大文字は室町8代将軍足利義政公が息子の病死を弔うべく東山に白布で人形(ひとがた)を描いたものが最初だと言われており、『大』というのは文字ではなく人の形だったのです。それが今の形として定着しています。

――なぜ、今年の火床は6か所なのですか?

大乗仏教に五位七十五法という教えがあります。一切の事象を5つに大別し、それを75に分類しています。ここから大文字の火床は通常75か所としており、今回は五位+中心の仏様、併せて六点を灯すことしました。

――そんな意味が。てっきり大の字を表す為かと。では最後にユーザーの方に一言

今年はコロナ禍で大変な一年です。昔のようにできればご自宅からご覧頂きたい。外で見る場合は出来るだけ混んでいるところは避けて、ご先祖さんを送ってあげて下さい。

  ◇  ◇  ◇

二度と見られることのない一生に一度の激レア送り火、今年はひっそりと堪能してみてはどうだろうか。

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