「やんちゃな子、元気があっていいじゃない!」確かにそうなのですが、やんちゃが過ぎると、周囲が嫌な思いをしてしまうというケースも当然出てきます。とはいえ、やっぱりまだ幼い子ども。「周りに迷惑をかけないように」と、常に分別のある言動なんてできるわけがありません。つい手を出してしまう、仲間外れにしてしまう…ということも。若気の至り、ならぬ幼げの至り。「子どもはやんちゃな生き物」そうわかってはいても、どうにもモヤモヤしてしまうことってあると思います。やんちゃな友達にわが子が振り回されているママ、そしてやんちゃな子どもを持つママにお話を聞いてみました。
保育園ではけっこうあるあるな「やんちゃ事件」!?
保育園でも、やんちゃ事件はちょいちょい起きているようです。特に年中や年長になってくると、思わず噛みついちゃう・叩いちゃうではなく、「少し知恵のついたやんちゃ」に発展するようです。お互い様とはいえ、やられた子のママはモヤモヤ…。
◇ ◇
▽ライオンの子どもじゃないんだから…
3月生まれで、クラスで一番体が小さく、運動神経もまだまだ鈍いわが子。4月生まれで体の大きい男の子に憧れて、いつもくっついているそう。一見仲良く見えますが、その男の子が息子に「タイヤの山から飛び降りて」「滑り台から立ったまま走って降りてみて」など、危ないことをさせようとするらしいんです。突き飛ばすとか突き落とすことは絶対しないのですが、息子は憧れの子の言葉を素直に聞き入れてやろうとするらしいので、怖くて。保育士さんが必ずきつく注意してくれているようですが、大人の見ていないところでなにかあったら…不安です。その子のママともあまり話す関係ではないので、ともかく子どもに「危ない、できないと思うことは絶対にしないよ!」と言い聞かせています。
〔Uさん、子ども5歳(年中)〕
▽なんでも仕切りたガール!?
娘が年長のとき、なんでも仕切りたがる、いわゆる「ボスキャラ」的な女の子が転園してきました。何人か標的を決めていたらしく(我が子もその中に入っていた)、ごっこ遊びの時必ず犬役にさせられ、「ワンワンって鳴いて」と言われ。鳴くと、「静かにしなさい!」とお尻を叩かれたそう。
どうやら保育士さんが見ていないときにやるみたいで。娘から「みんなも笑うから私も笑うけど、ホントは嫌だ。だれそれちゃん(同じく犬役をやらされる友達)も嫌だって言ってる」と聞いたときは、子ども相手だと分かっていても滅茶苦茶ムカつきましたね。
母親同士話して揉めるのもよくないと思い、保育士さんに相談。ごっこ遊びが始まりそうなときは保育士さんが一緒に入ったり、配役を保育士さんが決めたりしてくれて、徐々にボスキャラの子が仕切ることがなくなっていったそうです。学区が違うので、今は違う小学校。ホッとしています。〔Iさん、子ども6歳(小学校1年生)〕
◇ ◇
…年中、年長にもなると、「ちょっといじわるしちゃおうかな」「ちょっと偉そうにしてみたい」という気持ちが芽生えるようになります。まだそういう気持ちのコントロールも難しいので、やんちゃな行動も仕方ないというか、成長の証というか…もちろん、やられるのは嫌ですが。
プライベートで遊んでいるときも「やんちゃな子」にやられていた…
公園や家で遊んでいるとき、わが子がやんちゃな友達にやられているのを目撃してしまった、あるいはわが子から「やられた…」という報告を受けてしまった。…いずれもモヤモヤしちゃいますよね…。
◇ ◇
▽すべて後回しにされる
週末、たまに公園で一緒に遊ぶ保育園の友達。息子含め男の子4人なのですが、ある一人の子が、ブランコでもシーソーでも砂遊びでも、「だれそれくん(息子)は後でね」と順番を一番後にするんです。息子が先に乗ろうとすると、「ダメ!」とドつく。たいていはその子のママが怒ってとりなしてくれますが、別の遊びに移ると、また「だれそれくんは後でね」と言われている。
もうなんなの!?と思いながらも、週末は同じ公園に行きたがるし、なぜか一緒に遊びたい!と言うし…コロナで公園にしばらく行けなくなったときはホッとしました(苦笑)公園に行けるようになった今は、遊具がたくさんあって川が流れている、別の公園を開拓しました。〔Tさん、子ども6歳(年長)〕
◇ ◇
▽いじわるされてもやっぱりその子と遊びたい…
保育園の友達で、プライベートで遊んでいるときに娘を叩いたり、殴ったりした子がいました。私も目撃していたことがあります。娘も怖がっているのですが、なぜか「一緒に遊びたくない!」とは言わないんです。どうやら、その子のママが好きみたいで(苦笑)確かに常識もあって、私も好きなママ。
小学校に上がってからも何度か遊ぶ仲ですが、先日娘が「ボール(やわらかいもの)をぶつけられて目にあたっちゃって泣いちゃったの」と。でも、その場を誰も見ていなかったので、娘をどうなだめていいのかもわからず…「たまたま当たっちゃっただけかな?」と伝えましたが、心のなかはモヤモヤ。〔Yさん、子ども6歳(小学校1年生)〕
◇ ◇
…いじわるされても遊びたい。大人からすると理解できないかもしれませんが、実は優しい一面がある、憧れる部分があるなど、子どもなりに一緒にいたい理由があるのかもしれません。
小学校になると、ずるがしこい「やんちゃ系」も
小学校1―3年生になると、いじめに発展しないギリギリのところで仲間外れにしたり、登下校中に乱暴したり…。保育園児よりも「やんちゃ」さがずるがしこくなっていくようです。
◇ ◇
▽鬼ごっこで執拗に追いかけてくる
息子が小学校3年生のとき、毎日昼休みにいろいろな鬼ごっこをするのが流行ったそう。ひとりのやんちゃな子が鬼になると、なぜか息子を執拗に追いかけ回すことがあったそうです。そして息子が鬼になると執拗に挑発する。遊びの中だけのことだし、「いじめ」でもなさそう。息子としては泣きそうになることもあったけど、鬼ごっこに誘われると断れない…悶々としながら訴えてきたので、「Aくん(鬼ごっこには参加していない、同じクラスで比較的気の合う友達)にほかの遊びしよう、と声かけてみたら」と提案してみました。
やんちゃな子のいじめに発展しないか不安でしたが、うまい具合にAくんや他の数人と遊ぶようになって、やんちゃな子と距離が置けるようになったそうです。〔Fさん、子ども10歳(小学校4年生)〕
◇ ◇
▽あいさつ代わりに殴る!
一歩間違えたら傷害事件じゃないの!?という話なのですが…息子が小学校1年生のとき、週1のペースで地域班(住んでいる地域に分けて構成された班)での集団登校がありました。保護者が2名当番制で学校まで付き添うのですが、大人が見ていないところで、ひとりのやんちゃな子(当時2年生)が「おはよう!」と言いながら、息子のお腹をグーで割と強めに殴ってきたそうです。歩いている途中も1―2回殴られることもあったそう。私ややんちゃな子のお母さんが当番のときは絶対に殴ってこない。
息子も最初は「ちょっと痛いけど、その子面白いよ」と言っていたので、「ちゃんと『やめて』って言いなさい」と伝えながら様子を見ていました。でもそのうち「やっぱ痛いから嫌だ…」と。さすがに直接そのお母さんに伝えました。平謝りで、しばらくはそのお母さんが当番として付き添っているうちに、その子も「殴る」という行為に興味がなくなったのか、なにもなくなりました。
あいさつ代わりなのか、じゃれただけなのか知らないけど、「殴るなんて!」と思い出すだけで腹が立ちます。〔Hさん、子ども8歳(小学校3年生)〕
◇ ◇
…子ども自らの力でやんちゃな子と距離を置く、なかなか難しいですが、アドバイスをしながら見守るのもときには大切なこと。しかし、「陰で殴る」のはやんちゃを超えている気がします。子どもは「なんとなくやっちゃった」という感じなのかもしれませんが、これは大人の「厳しい目」が必要。
やんちゃな子を持つママも実は相当悩んでます…
やんちゃな子に嫌なことをされるのは辛いですが、やんちゃな子を持つママの悩みも相当深いようです。
◇ ◇
▽先生や友達に対して、なんでも反発する
年長になったとたん(というか6歳になったとたん)、思ったことを口にしてしまうというか、思い通りにいかないと、たまに暴言を吐くようになった娘。園長先生の話がちょっとでも長いと、「話長っ!」と大きな声で言ったり、担任の先生が「次はこれをしますよー!」といっても、「えー、今それやりたくないんだけど」と反抗したり…友達にも「おままごとなんて、バッカみたい!」と言ったり…。
家ではそんなに言わないので、「私が口うるさく言いすぎてるのか」「育て方間違ったのか」「このまま友達がいなくなったらどうしよう」と、正直悩み狂っています。今の時期だけで、すぐ収まることを祈るばかり。〔Oさん、子ども6歳(年長)〕
◇ ◇
▽まさかわが子が…心臓が止まりそうに
「最近怒ると、『うざい!』って言いながら積み木を投げちゃうんです」お迎え時に保育士さんにそう聞いたとき、心臓が止まりました。これまで直接誰かに当たったことはなかったそうですが、その日は女の子の腕に積み木が直撃! すぐさま女の子のママにメールで平謝りしました。「ぜんぜん大丈夫だよ。お互い様だから気にしないで」と返事をくれましたが、申し訳なくて涙が出ました。
まだ下の子が0歳、赤ちゃん返りなのか家でもオモチャで上手く遊べず投げたりと、思い当たることはありました。
「人に向かってモノを投げたら絶対にダメ! もし嫌なことあったら、言葉で言ってみよう」と、涙ながらに伝えました。このまま人にモノを投げたり、乱暴する子になったらどうしよう…今は不安でいっぱいです。〔Sさん、子ども5歳(年中)〕
◇ ◇
わが子のやんちゃぶりに無関心なのか気づいていないのか、腹立たしい親もいる中、わが子の言動に心を痛め、悩んでいるママやパパも多いようです。OさんもSさんも、「すみません」が口癖になってしまっているそう…。
子どもはやんちゃ、それは当たり前のこと。それでいいんです!でも、やんちゃなことをされたわが子、やんちゃなことをしてしまったわが子のことはやっぱり心配で不安で、そのことで頭がいっぱいになってしまうもの。それが親です。
小さい子どもは「自分のやんちゃな行動が、ときに周りを不快にさせたり、迷惑行為や危険行為になる」ということを、ちゃんとは理解できていません。
やんちゃなことをされてしまったら、抱え込まずに保育士さんや先生に相談する。もし直接相手の親に言えそうな状況だったら、事実をしっかり伝えてみましょう。
そしてやんちゃな子をいきなり抑え込むのではなく、子どもも納得する方法でやんちゃの度合いを少しずつ減らしていく。そんな手助けができたらいいですよね。「やんちゃ事件」がいつか、されてしまった方もしてしまった方も笑い話になるように…。