コロナ禍の休校でランドセルや通学カバン事情に変化は? 業者が学校で手渡しできないケースも

北村 泰介 北村 泰介

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う全国的な小・中・高校の休校が続く。期限が5月6日までとされた緊急事態宣言も31日まで延長され、学校も同様に休校を延長。依然として先行きが見えないまま、9月新学期案も浮上している。そんな状況下において、小学生のランドセルや中高生のカバン事情はどうなっているのか。メーカーの担当者に話を聞いた。

 ランドセルといえば、「ピッカピカの1年生」の代名詞。水泳用品メーカーの「フットマーク株式会社」(本社・東京都墨田区)はこのほど、小学校で使用する通学カバンに関するニーズと実態を把握するため、全国の小学1―4年生の親400人を対象に「小学入学時に使用するカバンの意識調査」を行った。

 同社の調査によると、子どもの入学前にランドセルを検討した人が91.4%だったのに対し、ランドセル以外を検討した人は8.6%。改めて「小学生といえばランドセル」という意識が深く根付いていることが分かった。その理由は、「ランドセルしか選択肢になかった」が44.7%、「ランドセルが小学校の指定カバンだと思ったから」が42.5%と続いた。同時に「ランドセルが子どもには重そう」が29.5%、「ランドセルの価格が高い」が30.3%と不満を持つ購入者がいることも見えてきたという。

 そこから、同社はランドセルに代わる小学生のための通学カバン「ラクサックジュニア」を4月22日に発売。重さはランドセルの約3分の2で、価格は9900円(税込)とランドセルの平均価格5万円に対して約5分の1に抑えられた。本体カラーはイエロー、ピンク、ブラック、ブルー、ラベンダーの5色。「小さな体にも負担をかけず楽に背負えるカバン」をアピールする。

 発売時期が学期末の3月までではなく、4月下旬からの発売ということが気になった。コロナ禍による休校措置と、5月に見込まれていた再開の時期を見計らったタイミングのように思えたが、実際はどうなのだろうか?

 フットマーク株式会社広報室の吉河祐子さんは当サイトの取材に対して「もともと4月発売を予定しておりました。4―5月頃から検討を始める方が多いというデータを元に設定しました」と回答。つまり、ランドセルのように入学前に「満を持して購入」ではなく、通学カバンは実際に学校に通い始める中で必要に応じて購入を検討するということのようだ。

 続いて、中学や高校の場合はどうだろうか。中高1年生向け通学カバンについて、吉河さんは「新入学生の場合、商品のお渡しが、年度末の2―3月に大体済んでおりますので昨年度と変更はありません」。入学式前の3月中には納品済になっているので、今回のコロナ禍の影響はそれほどなかったようだ。

  それでも、変わった点はなかったのだろうか。吉河さんは「いつも学校でお渡しでしたが、コロナの影響により、一部で個人宅へ運送便で配達になりました。ただ、そういったケースも、どちらかというと割合は少ないです」としつつ、「その中には、学校再開まで商品を渡せずにいる業者は一部います。進級した事により、新しい商品に変えたい、サイズが小さくなったので買い換えたい上級生に対しての注文が取れていないところもあります。休校になり業者が学校に行けないのです」と明かした。

  では、コロナ後の動きはどうなるだろう。吉河さんは「ランドセルの販売については今後、弊社としても販売方法の検討の必要性を感じていますが、まだ具体的な話はできていません。外出自粛により今まで以上にネットでの需要が高まることが予想されます。とはいえ現物を見なければ不安と感じる方もいらっしゃると思います。できるだけホームページや弊社の直営ネットショップなどで背負った時のイメージ動画などを作成し、お客様が商品のイメージをしやすい工夫を検討しております」と模索する。

 ランドセルや通学カバンも児童生徒と同様に「自宅待機」が続く。街で見かけられる日はいつになるのか。

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