中国産の不織布マスク原材料高騰 布マスク活用へ…政府は縫製工場での製造を後押しすべき

最新流通論

渡辺 広明 渡辺 広明

 流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」の今回は「マスク」がテーマ。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、マスクの品薄が依然として解消されていないことについて、その背景を解説し、今後の対応について提言した。

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 我が家はまだですが、そろそろ布マスク2枚がみなさんのお手元に届く頃では無いでしょうか?エリア別に順次配布することや配布枚数のこと、費用規模など、もう少し適切な方法があったのではないかと思います。

 ただし、マスク・エチケットの広がりや何より一番大切な医療現場にマスクが行き渡るためには、一般人は使い捨てマスクから布マスクにシフトする時期なのも否めません。

 一般人のマスク使用は、アジア以外の国々では、2カ月前までは余程の病気の時以外はなかったものが、全世界で使用が一挙に広がっています。

 中国が世界の半分を生産していると言われる中、世界的に品薄になるのは間違いありません。中国のマスク生産は日進月歩していますが、日産1億枚と報道されていて、世界人口が77億人いることを考えると使い捨てマスクが潤沢になることは考えづらいのが現状です。日本においてもソフトバンクなど、増産する大手10社で日産は約1150万枚なので。

 4月に入り、中国ではマスクの海外輸出が徐々に再開したため、以前より日本にマスクが輸入されていますが、原材料である不織布のメルトブローの値段が高騰し、コロナ前に箱入りマスク1枚売価が約10円だったものが100円前後となってしまい、小売業が店頭で販売するとSNSなどで便乗商法と叩かれるため、採用が慎重になり、大手小売の店頭に並ぶ事がない状態です。

 また、他業種のマスク製造が海外ではスポーツブランドなどで進んでいて、国内ではシャープが参入していますが、親和性の高く売上が厳しい縫製工場での参入が進んでいません。

 繊維素材は通過性が非常に高いという問題もありますが、今回参入が進まない理由は製造場所の衛生管理基準が縫製工場では規格に満たないというのが理由です。非常時なので、政府が商品や生産管理の新基準を明示して縫製工場でのマスク製造を後押しすべき状況な気もします。

 布マスクの効能は、ウイルスの付いた手で口を触らない、コロナ罹患者の飛沫を少しでも防ぐ、など限定的にはなるようですが、世界のマスク不足で困っている人も多いので、助け合いの精神で洗える布マスク使用で頑張るしかありません。

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