「NEVER GIVE UP.」力強い文字に感動…町工場の技術を駆使した動画が話題…制作者に聞いた

太田 浩子 太田 浩子

 新型コロナウイルスの感染拡大にともない、経済や日常生活に影響が及ぶなか、「今、困難を乗り切ろうと頑張っている全ての人へ。それと、出かけるのを我慢している子供達が楽しめるように。町工場のおやじが機械を使って出来る事はこんな事くらいしか思いつかなくて。大変だけど、みんなで頑張ろう。」という言葉とともに動画が投稿され話題になりました。

 動画は、赤いポインターが光る金属板にレーザーが走り、ウイルスが浮遊する地球を刻印。そのあと真っ白く塗りつぶされ、今度は両手に優しく包み込まれた美しい地球があらわれ、「NEVER GIVE UP.」という力強い文字が刻まれます。

 リプ欄には「「こんなことくらい」がやたらかっこいいです」「金属だけど温かい クールだけじゃなくて愛がある‥素敵です」「これを自称町工場のおやじがやれるのがこの国の底力だと信じています。」「町工場のおやじ凄い」「こんなこと 子供じゃなくたって楽しいですよ…ありがとう…」「子供と一緒にみました 子供感動 母(T-T) がんばりましょうね」とみなさんその想いを受け取ったようです。協立工業(新潟県燕市)の代表取締役で自称町工場のおやじの森下一(@kyoritsu_1962)さんに聞きました。

 ──なぜこの動画を投稿しようと思ったのですか?

 毎日コロナウイルスの先が見えないニュースばかり目にしていましたが、スポーツ選手や著名人が応援動画をアップするのを拝見し、私には何ができるだろうと考え、いつもやっているファイバーレーザーの加工動画で、ほんの少しホッとできるようなものを作ろうと思いました。

 ──デザインに込めた想いを教えてください。

 今、ものすごく世界中が大変な状況にありますが、私たちは負けない、大丈夫。と言う意味を込めて作りました。

 イラストのレイアウトや構成、加工、撮影は私がして、動画の編集は映像ディレクターの弟がやってくれています。

 ──動画の機械について教えてもらえますか?

 これは、通常は金属部品にバーコードやQRコード、社名などを印字する際に使われるファイバーレーザーマーキング機です。

 今回の加工は、最初にステンレスの板に薄く絵を彫っています。次に、最初の絵よりも深く、細かいピッチで板全体を彫ることで最初の絵を消してしまいます。次の絵は、さらに出力を上げて深く彫り、最後のメッセージは出力をMAXにして深く、強く彫ることで焼き色を出しています。金属板を削っていますので、厳密にいえば削りかすが出ていますが、0.01ミリピッチなので薄く、細かく削るためわかりにくいですね。

 ──なるほどそういうことなんですね。普段はレーザーマーキングでどんな商品をつくられているのですか?

 弊社は、自動車、鉄道、医療、業務用厨房、建築関連の金属部品、金型を製造する約50名の部品加工工場ですが、本業での使用はありません。主にツイッターに動画を投稿するために使っています(笑)

 しかし、ツイッターがきっかけで近いうちにBtoCを展開することになりました。一般消費者の方々に喜んでいただけるものを現在企画しています。

 ──ツイッターに投稿するだけじゃもったいない機械ですよね。ツイートが話題になりました。

 過去にも数回バズったことがありますが、今回の反響はそれとは全く異なるものでした。毎日緊迫するニュースが流れるなか、少しでも気が紛れるような話題を提供したかったのですが、多くの方から「勇気づけられました」「涙が出ました」「子供と何度も見ています」と、逆にこちらが励まされるようなコメントを多く頂きました。とてもうれしく思っています。

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